ガオル戦記

ガオルとは、山形弁で弱る・疲れきるという意味
自転車であちこち走り、七転八倒する様を書いていきます

2013年08月

BRM803大雪と花ちゃん その4完

花ちゃんがまったく見えないほど遅れている!

僕だけ止まって花ちゃんを待つ。

10秒・30秒・1分・・・


2分ほどしてやっと花ちゃんがやってきた。

随分やられた表情をしている。


気分が悪いので丸瀬布の道の駅で休んでいくとのこと。

休んだ後、DNFするか先へ進むか考えるとのこと。

だから僕には先に進んで欲しいとのこと。


これを聞いて観念した。

残念だけど花ちゃんの挑戦はここで終わったと思った。


出来れば無理をせず丸瀬布でゆっくり休んで今の道を下って遠軽の駅から輪行して欲しい。

疲れた頭と体で先へ進んで、熱中症とか事故に会わないで欲しいと思った。


今度は僕が怖い顔をする番だ。


ブルベは自己責任だからね。自分で自己管理して下さい。いいね、出来るね!


無理しないでDNFするんだよ。という意味だった。

だって現在の段階で貯金は0に近い。これから700m以上登らなくてはならない。

最後は8kmで480m登る今回屈指の厳しい峠が待っている。

絶対に今から休んでいちゃあ無理だ。

それどころか自分も危ない。


花ちゃんは神妙な顔をして頷いた。

その頷きを見て自分は見をひるがえした。

北見峠そしてその先のゴール目指してまっしぐらに進んだ。


花ちゃんを残して。


進むのはいいが、Y田さんメイン集団とは随分差がついてしまったらしい。

メイン集団に追いつかなければ完走は難しい。


現に暑さのためかサーマル現象が起き、結構な向かい風になっている。

今まで風よけでトレインを利用することを考えてこなかったが今回は切望した。

花ちゃんを置いてきた以上、なんとしても完走したかった。

Sさんの広い背中が恋しかった。

幸い、陸別からゆっくりペースが続いていたので脚が復活してきている。

ダンシングを多用して集団を追う。


脚が終わってもそれはしょうがない。

集団に追いつけなければ同じ事だ。


花ちゃんが休むと言っていた丸瀬布の道の駅あたりで集団に追いついた。

Y田さんに花ちゃんのことを報告して、最後尾につかせてもらった。


集団に追いついて楽になってくると同時にまた自問自答が始まった。


一蓮托生のはずだったんじゃねーのか?

笑わせるぜ。

あの変わり身の早さはさすがだね。

これで自分だけ完走出来る可能性が高まったね。

だけど本当にそれでいいのか?


意地悪な自分の分身がするどく問い詰めてくるが、追い払った。

今回初めて完走に対する欲が出てきた。

なんとしても完走したかった。

だから、もう花ちゃんのことを考えるのはやめた。


もう終わったことだから。


北見峠への道は予想どうり厳しかった。

それに暑さが加わり集団のペースも落ち気味だ。


それに今度はchikaさんが暑さのため体調を崩してしまった。

Sさんがつき、集団はふた手に別れて進む。


6%の傾斜になってからbongoさんとHさんが先行するようになった。

自分はあくまもY田さんにつく。

Y田さんの頭脳とスキルに感服しているからだ。

この人に付いて行けば間違いがない。


ほぼ寝ないで400km走り続けた後の北見峠。

6%で8kmそして灼熱地獄。

本当に厳しい戦いだ。


峠頂上から3kmほど前のトンネルでY田さんが休憩する。

bonngoさんとHさんはもう頂上に付いている頃だろう。

休んだのはたぶん、chikaさんとSさんを心配してのことだろう。


10分ぐらいでchikaさんとSさんがやってきた。

あれだけ登りが強かったchikaさんも暑さにやられ苦しそうだ。


二人の到着を見届けてY田さんと自分も出発する。

我々が最後尾だと思っていたのだが、この北見峠がよっぽど過酷だったのか他の参加者も見かけるようになってきた。

みんな苦しそうだ。


果てしなき戦いもいつか終わりの時がくる。

北見峠登頂!

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chikaさんとSさんもほどなくやってきた。

後は、少しでも休憩時間を稼ぐため上川のPC7まで下るだけだ。


下っている最中、また眠気とハンガーノックのような症状が出てきたので止まって氷水をかぶり、持参した蜂蜜スティックとブドウ糖を口に入れる。


自分は眠い時、氷水をかぶるとリフレッシュ出来てまた走れるようになる。

また蜂蜜スティックとブドウ糖は本当に即効性があって助かる。


高速が出る下りの最中なのでそれでも安全を期すために5分ほど休み、それからまた飛ばすとちょうどPC7につく頃メイン集団に追いついた。


PC7 14:50着 クローズドは 15:28。


スタッフのかたがいらっしゃったので、花ちゃんのDNFの連絡があったか尋ねるもまだないとのこと。

いやな予感がする。

道の駅で相当具合が悪くなったのだろうか?


誰かが30分でも寝ると随分違うからまだ走っているのかもしれないと言うが、あの北見峠に向かって走っているとは到底考えられない。

たとえ向かっていても間に合うわけないのに。


PBP完走者達がこんなに苦労した道のりだから、花ちゃんには無理だ。


とにかく無事を祈ってクローズぎりぎりまで休んで出発することになった。

15:18頃のことである。


バイクにまたがり右脚のクリートをペダルにはめた時、その時。

目の前にピンクの物体が飛び込んできた。


亀太郎ジャージを着た花ちゃんが凄い勢いでPCに飛び込んできたのだ。


最初何が起きたのかよく理解出来なかった。

なぜ花ちゃんがここにいるのか分からなかった。

皆も同じだったのかポカンと花ちゃんを見つめるだけで誰も声を発しない。


花ちゃんもよほど緊張感をもって急いできたのか、その怖い顔のまま固まって皆をただ見詰めている。


自分が最初に

「クローズが迫っているんだ。早くレシートを」

と言うとHさんが

「何か、何でもいいからとりあえず買って来なさい」

と優しい声をかけてくれた。


花ちゃんもはっと我にかえったみたいに自転車を降りてコンビニの中に入っていった。


奇跡が起きたのだ。

奇跡と言っては頑張った花ちゃんに失礼か?


いややっぱり奇跡だろう。

体力的にも精神的にもよく耐えてここまで頑張ってきたものだ。


普通の状態ではない。

何度も言うが寝ずに400km走って後である。

最終集団から別れ丸瀬布の道の駅で30分ほど休んだらしい。

それから一人でだれも参加者のいない正真正銘の最後尾を、あの灼熱の北見峠を越えてクローズド8分前に間に合わせたのだ。


見上げた精神力だ。


こんな強い精神を持っている人に、自分は可哀想だの一蓮托生だの見捨てただの、なんて自分勝手で的外れで失礼なことを思ってきたのだろうか。



この人は誰も助けもなく自分自身の力でやり遂げる人だ。

また花ちゃん自身もそれを望んでいるのではないか。


胸の奥が熱くなって、次は眼の奥が熱くなってきた。

やばい!


予定どうりY田さん達は出発するみたいだ。

自分は花ちゃんと一緒にいくかちょっと迷ったけど、もう花ちゃんはそういう気遣いはいらないような気がした。


本当に花ちゃんに手助けが必要ならばY田さんが言ってくれるだろう。


自分もY田さん達と一緒に出かけることにした。

花ちゃんは必ず次のPC8まで来るとの確信があった。

それほど北見峠越えは、奇跡的なことだったのだ。


PC8までの道は、それほど大変ではない。

下り基調で進み最後にちょっとアップダウンと最後に塩狩峠という小峠があるだけだ。


ところがchikaさんの具合がやはり悪いらしい。

Y田さんとSさんがchikaさんについて、bongoさんとHさんと自分が先行することになった。


3人になったとたん、bonngoさんの鬼引きが始まった。

まるで今までの走りは仮の姿であるかのように。

和寒前のアップダウンをグワングワン力強いペダリングで越えていく。

Hさんもそれに付いてペースアップする。

自分も意地で付いて行く。


案外脚が回るのに嬉しい驚きを感じた。

ダンシングもまだまだ充分可能だ。


このまま付いてPC8まで行こうかと思ったが、やはりまだ100kmもある。

未経験ゾーンを走っているので、今ちょっと調子が良いくらいで脚を終わらせてしまっては元も子もない。


離脱して自分のペースで進むことにする。

塩狩峠でmarioさんが写真をとっていた。

この方もPBP組だ。


なぜこんなギリギリ隊にいるのかわからないがブログで結構やられたと書いてあったので、やはり疲れたのであろう。

結構過酷だったんだよ、今回の大雪600は!


PC8着 17:19。クローズド 18:16。


PC8ではY田さん達と花ちゃんを待ちながらゆっくりとした。

marioさんが冷やしうどんを食べていて、美味しそうだったので自分も買って食べた。

Hさんは気持ち良さそうに寝ている。

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そのうちY田さん達が着いた。ほどなく花ちゃんも来た。

Y田さんから、HさんのGPSが壊れたので先導して二人で先に出てくれないかと頼まれた。

それはもちろん構わないのだが、やはり花ちゃんのことが気にかかる。

もう大丈夫だと思っていたが、今入ってきた時の顔を見るとそうとうやられ感が出ているような気がしたからだ。


そこでY田さんに花ちゃんと一緒に行ってくれないかと頼むと、そんなことは先刻承知でもう花ちゃんに言ってあるとのこと。

さすがY田さん!


やったー!これで安心。

Y田さんと一緒に走れるのならあと90km、なんとか完走できるだろう。

それにしてもここまでこれたのは、花ちゃん自身の力だ。

本当に凄い娘だ。


自分はここまできたら絶対に完走するつもりだし、自信もあった。

Hさんを引くという大業が課せられたが、それもいい刺激になって眠気覚ましになって良いかもしれない。


飛ばした。PC9までもう脚も折れよとばかりに踏むし回すし。

しかし、Hさんもぴたりと付いて離れない。


この区間は延々のそば畑。

群青色の空と夕日と白い蕎麦の実。

実に美しいところだった。

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間違ってPC間の距離が40kmだと思って飛ばしたのだが、実際は60kmあると分かって最後の20kmはタレてしまったが、良いペースで沼田PC9着。


PC9着 20:57 クローズド22:16

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残り30kmで貯金が1時間20分ほど。

ここからゴールまではほぼ平坦。

よほどのことがないかぎり完走が見えてきた。


ここまで来たら、危険を犯してまで飛ばすのは愚の骨頂とゆっくり行くことにした。

Hさんもそれで良いとのこと。


暗闇の中どこまでも続く一本調子の道を20km/hほどで淡々と進む。


そして22:44 ゴール。

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体調不調でDNFしたチコリンさんがスタッフとして手伝っていた。

偉いね。

ちこりんさん、美味しいコーヒーありがとうございました。


早く着いてた健脚の亀太郎の男の人が、心配そうに花ちゃんを待っていた。

いったい何時間待っているんだ?

偉いね。


チコリンさんから、PC9を充分間に合う時間にY田さん達と花ちゃんが出発したと連絡があったと聞かされた。


それは聞かなくても分かっていた。

あの北見峠を一人で越えてPC7でY田さんと会ったその時に運命は決していたと思っている。


その運命を手繰り寄せたのは、花ちゃんの精神力と頑張りだ。

たぶん辛かったと思うよ。自分が想像するよりずっと。


花ちゃん達の到着を待つかどうか随分迷った。

Y田さんにお礼をいいたかったし、花ちゃんにも一言おめでとうと声をかけたかった。


しかし、その時自分の感情をコントロール出来る自信がなかった。


だからさっさと江部乙の温泉宿に帰って風呂入って寝てしまった。


朝起きてから気付いた。

そう言えば自分も完走してSR取得出来たんだと。

すっかり忘れていた。


Y田さん、そして一緒に走っていただいた皆さん。

本当にありがとうございました。


Y田さん、花ちゃん完走できて良かったですね。

Y田さんの北海道を一人でも多くの人が楽しんで、出来れば完走していってもらいとの思いが今回天に通じたのだと思います。


花ちゃん、おめでとう。

また機会があったら一緒に走って下さい。


だけど、今度会うときは、恐ろしい健脚姫になっていそうで嫌だな。

その時は知らんぷりしようっと。


こうして僕の北海道 大雪600kmは無事終了した。





ブログ、どうしてこんなに長くしたの?


あっ?優子?いたんだ?


いたんだじゃないわよ。

4日間もほったらかしにされて、バッテリーあがっちゃったじゃない!

どうしてくれんのよっ!


そうか、ごめん・ごめん。

でも、ついに600完走したぞ。

思えば厳冬の雪道を優子と飛ばして関東のブルベに毎週通ったよね。


ふん、そうでしたかね?


そうさ、優子のお陰もあって目標のSRを取れたんだぜ。


よかったねー、なによ!花ちゃん、花ちゃんって馬鹿のひとつ覚えみたいに。


あれ~? 優子、妬いてるのぉ~?


ばっかじゃないのっ!!!!











BRM803大雪と花ちゃん その3

陸別の道の駅で仮眠をとることになったのだが、もうランドネ達で満員御礼。

スタッフがこっそり用意してくれた段ボールも、もう残っていない。

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するともう出発するからと一人の方が段ボールを譲ってくれた。

さて二人で段ボール一つ。

どうするか?


この状況では段ボールは花ちゃん、自分は地面コンクリートじかに寝るしかないか。


やれやれ、地面直寝はいつ以来だ?

ネパールでヒマラヤ・トレッキングの途中で行き倒れて地面に寝て以来か。


と、ここで花ちゃんが助け舟を出してくれた。

花ちゃん寝袋を持ってきているので、段ボールは僕が使ってくれと言うのだ。


またここで花ちゃんに対する認識を改めた。
 

仮眠場所を想定して寝袋を持ってくるなんて中々出きることではない。

考えてみれば、寒暖差の激しいこのブルベ、そして深夜ライドのためのライトなどしっかり考えられて装備してきてるし、自分の力でここまで来てそして僕に段ボールを譲り自分は持参した寝袋で寝ている。


立派なもんである。


それにしてもいくら寝袋といってもコンクリ地面に直じゃ、痛いし寝れないだろうなと思っていたら、次に出発する人から花ちゃんが段ボールを貰っている声を聞いた。


夢か真かどっちかなと思っているうちに非情にもスマホから出発時刻になったことを告げられた。


休憩実質30分?

こりゃあ、お互い悩むこともなく仲良くDNFかなあと覚悟した。


一足先に起きていたbongoさんに二人は遅いので先に出ることを告げ、3時40分頃陸別を出発。


外の気温は10度。体感は5度。霧が充満してて視界10m。

レインジャケットとレインパンツ、それに長指グローブで走りだした。

パールイズミの長袖防風インナーは使わずじまいだったが、これを持っている安心感には変えられない。

冬の関東のブルベで何回これに助けられたことか。


あまりに時間がなかったので二人とも朝食を食べてない。

しかたないので走りながら食べようと足寄で買ったおにぎりやらパンをモグモグ食べる。

花ちゃんも器用に走りながらもぐもぐ食べている。


立派なランドネですよ、花ちゃん君は!


ところがここでついに眠気の魔女が僕に君臨してきた。

深い霧の中、単調な景色と道路をゆっくり進む二人。

眠くならないほうがおかしい。


そこで今回初めてといっていいのだが花ちゃんと色々話をすることにした。


去年からブルベを初めて先月やっと富士大廻りで400を完走したこと。

今回のブルベが初600で、一応SRがかかっていること等。


このSRの一言を聞いて花ちゃんの声が一変した。


SRがかかっている大事なブルベでこんなところで私にかまってないで先にいけというのだ。


そう言われても行きたくても行けないほど眠かったし、とにかく一緒に留辺蘂まで行くことにした。僕の方が一緒にいて欲しかったのだ。


留辺蘂までの道のりは、アップダウンがきつくまた小峠みたいのもあって眠い自分はスピードが上がらない。

花ちゃんに何回か休憩をお願いする始末。

むしろ花ちゃんに迷惑をかけている状態だったと思う。

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355km留辺蘂PC5には7時頃到着。クローズドは7:40。

ここでまたY田メイン集団に吸収される。


Y田さんは、ここまできたら次の遠軽まではたいしたことないからクローズド近くまで休むということである。


花ちゃんは寝袋等いらなくなった荷物をコンビニから自宅へ送って身軽になる準備をしていた。

ふむふむ、これも大したものだ。

少しでも軽くして巡航速度を上げるのは賢い選択だ。


自分も防寒雨具等を収納して灼熱ライドに備える準備をしている時に気づいた。


輪行袋がない!


確か陸別に着いた時はあったので、たぶんそこで落としたらしい。

これは神様が、なんとしても完走しろと言っているのか。

もう退路は絶たれた。後は前に進むのみ。


花ちゃんの準備が終わるのを待って先に二人で出発する。 

僕には怖くてクローズぎりぎりまで休むことは出来ないからだ。

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ただ出発してからも、花ちゃんは先に行けとうるさい。

私のせいでSRを駄目にしたくないから、お願いだから先に行けと繰り返す。


その言葉に甘えたわけじゃないが、金華峠を越えてからは長い下りがある。

ここで少し飛ばして、アドバンテージを作ってから少し仮眠したかった。


そこで言われるがまま先を急ぎ途中のホテルバス停で10分間の仮眠をとった。


さわやかな風が頬を撫でる。

ラベンダーの香りが鼻をくすぐる。

子どもたちの笑声が近くなったり遠くなったり・・・。


今僕はどこにいるのだろう?

この優しい満ち足りた気持ちはどうしたんだろう?

その時・・・


ジリリリリリリリーーーーー!!!!!!! 



過酷な現実に戻される非常なスマホの黒電話サウンドが耳元で鳴り響く。


寝たぁ!
 

恐ろしく深い眠りを経験した。

陸別から頭にしつこくかかっていた霧が嘘のように晴れた。


残りの下りをまた飛ばして392.7km地点、遠軽PC6には9:18分着

クローズドは10:12。

花ちゃんはしっかりすでに着いていた。


先に行ったはずなのにいないから心配してたと少し恐い目で睨まれた。

ふ~ん、花ちゃん結構良い奥さんになるかも。


ここからは最後のラスボス北見峠、標高857m。

次の上川PCまで78km。

これをクリアすれば完走の文字がちらついてくるであろう。


しかしY田軍団はここでもたっぷり休憩をとるという。

おそらくメンバーの体調を考慮して決めているにちがいない。

こちらも花ちゃんの顔色を眺めると決して良好とは言いがたい。

花ちゃんにとっても同性のchikaさんが一緒だと心強いに違いない。

そこでY田軍団と一緒に行動させて貰うことにした。


9:50分頃出発。


もうアドバンテージはないも同然。

この北見峠の長い道のりは、パンクや仮眠も許されない、本当にギリギリの勝負所になるはすだ。

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なるはずなのだが、峠への緩いアプローチをきわめてゆ
っくり進む軍団。

え~~!こんなにゆっくり進んで間に合うの?

と思ったが、ブルベの神様Y田さんが判断を間違うはずがない。

信じよう!


もう完全に任せた。

ブルベをやってから初めて他に全てを委ねた。

いやあ、委ねてみるとこれが楽。

いままで肩肘張って計算して考えて気を配って・・・色々やっていたのが、ただ何も考えず付いて行けばいいのだから、こんな楽でいいのかと思うくらい。


ただ日が昇るにつれ暑さが酷くなってきた。昨日より暑いのは間違いない。

Sさんが消耗した顔つきで停まり、先に行ってくれと合図する。


えっ!?

百戦錬磨のSさんが?

PBP完走者がここでDNF?


そしてあろうことかY田さんまでが停まり先に行け合図を!


ちょっと待ってくれ!

僕はY田さんに全てを預けたのに、Y田さんいなくなっちゃたらどうするの?


これにはビビった。

あわててQシートを引っ張りだしてスマホ電卓で残り距離と時間の計算をする。
それも走りながら。


そのうちにSさん、すごい勢いで集団に戻ってきた。

いやあ、眠くて暑くてぼーっとしてねとのこと。


自分だったらあんなに差がついてしまったら戻れないな、この登りじゃ。


花ちゃんでも無理じゃないかな?


あれ?
 

花ちゃん?


いない花ちゃん!!!


いつのまにかいなくなってる!!!!


その時Y田さんが集団に戻ってきた。


聞くと花ちゃん調子悪そうで無理かもしれないとのこと。

ずいぶんと距離が離れたらしい。
 


えええええ!!!???





BRM803大雪と花ちゃん その2

メイン集団から逃げて必死で白樺峠を目指すが、ついに然別湖の自販機休憩で追いつかれ吸収されてしまった。


それにこの集団が最後尾であるらしい。

ということはこの集団からちぎれたら未来はないということが明らかになった。


しかし、逃げで脚を使ってしまいもう力をかけれない状態になっている。

然別湖の湖畔はほぼ平坦なのでまだ良かったが、幌鹿峠への登りにかかるとついに集団から遅れるようになってしまった。


考えてみたら、いや今さら考えなくても同じなのだが最後尾軍団とはいえ、そのメンバーの凄いこと。

殆どの人がPBP完走者でありHさんもこの後宮城1000に出走、そして次のPBPに挑戦するとのこと。

なんでこんな絢爛豪華なメンバーが最後尾なんだ?


恐ろしすぎるぞ大雪600!


わざとゆっくり走ってる?

さて、そろそろ本気だすかとか言ってバビューーーンて行ってしまうんじゃないだろうな。


ちきしょー、花ちゃんは涼しい顔をして皆と一緒に登っている。

考えてみたら、花ちゃん、花ちゃんと朝から上から目線で心配したり可哀想がったりしてるが、ここまで1mたりとも一緒に走ってるわけではないんだよなぁ。


花ちゃんは自分一人でここまで来て、今は暗くなったので安全のために皆と一緒に走っているにすぎない。


危ないのは自分だ!

遅れていることを心配してくれて誰かが自分が見える曲がり角までゆっくり待っていてくれているみたいだ。


しかしそのことが焦りを呼んで余計苦しくなっていく。

どんなにあがいても脚はまわらない。時速6kmを切っている。

しかも完全な最後尾、びりっけつ。


もう集団の最後尾のテールランプが見えなくなった。

待つのも諦めてくれたのだろう。

少し重荷から開放された気分になった。



そしてついに力尽き止まってしまった。

真っ暗闇の峠道。

ヤケクソでライトを全部消して道に寝っ転がり星空を観る。

↓イメージ画像

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星は密集していて、美しいを越えて気味が悪いくらいだ。

地球も宇宙の一部だというのが知覚でき、また信仰の根源はここにあるのではないかと思ったりもした。


気味が悪いといえば先程から右の茂みからごそごそ音がしている。

宇宙もいいが、こんなとこに寝ていてヒグマさんにお会いするのだけは勘弁なのでしかたなしに起き上がり、また走りだす。


そこの角を曲がると頂上ですよとガーミンさんが教えてくれる。

そして嫌な予感がしてきた。

カーブの先、茂みの奥から明かりが漏れてくるのだ。

頂上といっても何もない深い闇があるだけのところから、複数の光が・・・。


もう間違いない。

皆、自分を待っててくれている。

ただでさえ先のPC3のクローズ時間に追われているのに、総勢6名の人達を待たせてしまった。

しかもずっと走っていたのならともかく3回も休み、そのうちの1回などは道の真中に寝っ転がって哲学に耽っていたというのに。


自分がつくと皆一斉に小さくため息をついたような気がした。

待たせて申し訳ありませんと謝ったが、Y田さんが下りは寒いから皆着替えていたので待ってませんよとおっしゃってくれる。

chikaさんも花ちゃんも、待ってないから大丈夫ですよと気を使ってくれる。


みんな優しいね。

でも分かっているよ。自分が待たせた時間は着替えに使う時間よりずっと長かったはずだ。


絶対待っていないと勝手に思った自分の致命的な判断ミスのせいだ。

そして最後尾の暗闇の峠で離れた男を待つ判断をしてくれたのが、おそらくY田さん。


Y田さんは皆を先に行かせ、僕に着替えるように言うと自分もまだ着替えるからと言う。

しかし何だかごそごそやっているがもうすでに雨具をつけて完全防寒体制になっていたから、もしかして僕に余計な気を使わせないためにわざとごそごそやってくれていたのかもしれない。


Y田さん、本当に申し訳ありませんでした。

それに花ちゃん、何もしてあげれないくせに、上から目線で心配したり逃げたりしてた自分に対して、優しくしてくれてありがとう。

この先何か自分にできることがあれば、必ずお役にたてるよう頑張るからね。


Y田さんの皆に対する気遣いはこの後環境が厳しくなるにつけ凄みを増してくる。

ゆっくり気をつけて降りるように言ってY田さんがしんがりを努めてくれた。


208km地点、PC3糠平温泉の有人チェックポイントに到着。

20:52着。

良かった、なんとか1時間近くの貯金でこれた。
↓イメージ画像(AJ北海道様からお借りしました)

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事前情報ではスタッフの方が美味しいラーメンをご馳走してくれるという。

意地汚くそれを期待して頭のなかはラーメン一色になっていたのだが、残念ながらないらしい。


花ちゃんに、ごめん僕が遅いから売り切れちゃったのかなと言うと、どうもそうではなくて火を炊いたら温泉の係の人から止められたそうだ。


ここではトイレ休憩のみで次の士幌PC4に急ぐ。

238km地点のPC4までは下り基調で問題なく22:26着。

1時間半程の貯金。

IMG_0800














この調子でいけば309km地点の仮眠場所陸別には2時間半ほどの貯金でいけそう。

ということは1時間半は休める。


Y田軍団と花ちゃん、そして僕と最終組7人が70km先の陸別道の駅に向けて出発した。


トレインのラス前を花ちゃん、最後尾を自分が務めるが花ちゃんが徐々に遅れる。

Y田さんが速いわけではなく、花ちゃんの調子が悪そうだ。


結局集団からちぎれてしまい、僕と花ちゃんの二人行となった。

登りは花ちゃんを先に行かせて、平坦は僕が前を引く。


たぶんY田さんも自分が花ちゃんと一緒に走ることになったと理解したのだろう、待つこともなくどんどん先に行ってしまった。


しかしこれもY田さんのやり方なのだが、距離をおいて観察しててくれる。余計な手助けはしない。しかし決して見放してるわけではなく、必要とあれば助けてくれる。


現にとっくに先に行ってると思っていたが途中の足寄のセーコーマートでちゃんと待っててくれた。


誰もが一刻も速く陸別に着いて寝たかったろうに。


花ちゃんはどうもお尻が痛くなってきたようで、chikaさんが親切に色々と世話を焼いてくれている。


我々もここで明日の朝の食事の調達も含めて休憩したかったので、Y田さんに言って先に行ってもらった。

なんとなくだが、Y田さんから目で「花ちゃん頼んだぞ」と言われたような気がした。


頼まれたのは良いのだが、ロードバイクを買ってからこのかた、単独行しか知らない自分が他人を引く難しさを痛感してしまった。


しかもおそらく花ちゃんは疲れからかお尻の痛みか、本調子ではない。

そういう状態の人の体調を考えてスピードを調整したいのだがうまく行かない。


あるときは離れてしまい、あるときは遅すぎて詰まらせてしまう。

もうどうしていいか分からず、ゆっくり自分のペースで走って、あとは大きく離れないようにだけ注意するしか出来なかった。


花ちゃん、肝心な時不甲斐ないオッサンで申し訳ない。


2時40分頃309km陸別道の駅に到着。

ここまで思っても見なかったアップダウンが延々と続き結構時間がかかってしまった。

ここを貯金1時間を見て3時半に出発の予定だ。


Y田さん達は基本的に脚があるので4時まで休むつもりだと聞いていた。


ここで花ちゃんに提案をする。

自分は遅いので3時半には出る。

Y田さん達は4時まで休むようだが、先ほどのように花ちゃんがついていけないようだと迷惑がかかるので、よかったら自分と一緒に3時半に出ないか?

すっかり明るくなれば、また一人で走ってもいいしY田さん達と一緒に走ってもいいし。


花ちゃんは理解してくれて一緒に3時半に出ることになった。


実はこの時、今回のブルベは花ちゃんと一蓮托生の覚悟を決めていた。

たぶん花ちゃんはこのペースだと良くて遠軽、悪ければ次の留辺蘂でタイムアウトになる可能性が高い。

しかし、これも縁だしこの苦行から開放されて花ちゃんと列車輪行も乙じゃないか、などと勝手に考えていたのだが。


そしてこの後驚くべき出来事が起き、今回の一蓮托生の決断が、恥ずべき一人よがりだったことが判明する。









BRM803大雪と花ちゃん その1

AJ北海道主催のBRM803大雪に行って来た。

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去年の暮にこの大雪600kmにエントリーしてから、真冬の千葉300kmを皮切りにこの日のために努力してきた。
鼻血や蕁麻疹にも悩まされてきた。
4月の大雪に恐れおののきDNFを余儀なくされた。
大雨に気持ちが折れたった100kmでDNFしたこともあった。
一時は完全に諦めかけた時もあった。
だから母の故郷のこの大地に立てただけでも感無量である。

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あとは今の自分の実力でどこまで出来るのか。
簡単な戦いでないことは承知しているつもりだ。 


前夜祭が滝川にある松尾ジンギスカン本店という所で行われたのだが、道に迷い集合時間から5分ほど遅れて着いた。

もうみなさん、席につかれている。どこに座ろうか廻りを見渡すがどこも空いてない。 


その時一人の女性が満面の笑みで手を振って招いてくれた。

先月会津のブルベで一緒だった名門亀太郎軍団の姫「花ちゃん」だった。
 


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ここから僕と花ちゃんの3日間にわたる長い物語が始まる。


会津では一緒に走る場面はなかったのだが後夜祭で花ちゃんもこの大雪600にエントリーしていることを知り、盛り上がった記憶がある。

彼女は今年からブルベを始めて300kmまでは走ったことがあるが、600kmを走るのは初めてで、それでも北海道の雄大な景色と南富良野でエゾカツカレーを食べるのが楽しみであることを知った。


正直今日のために2年がかりで準備して400を2回DNF、3回めの富士大廻りでやっと完走してここに来ている自分からするとちょっと贅沢な希望のような気がした。


「エゾカツカレー、僕も食べたいけど完走のため今回は全部コンビニ飯にする。然別湖・糠平湖への登りを考えるとPC3の上士幌には制限時間ギリギリになる可能性があるからね」


などと素人のくせに偉そうに脅かしてみると可哀想に花ちゃん、「そうか~、やめたほうがいいかな~」などと悲しそうな顔をしている。
 

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あけて次の日、スタート地点の「道の駅たきかわ」にぞろぞろと全国から勇者たちが集まってきた。

皆とても速そうに見える。自分が場違いな所へきてしまった感が強まる。

花ちゃんもいたが亀太郎の男の人が一緒なので挨拶だけにとどめる。
 

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簡単なブリーフィングの後、8時にスタートとなったが、さすが600kmともなると皆ゆっくりと談笑しながら三々五々出発していく。


北海道のY田さんグループも出発した。

Y田さん・チコリンさん・chikaさん・bongoさん・石巻のSさん・北海道のHさんというメンバー。


実はY田さんがブログで北海道を楽しんでもらうため39時間完走を目標に走るとおっしゃっていたし、実際に去年200kmしか走ったことのない福島のkeiさんを見事完走させた名人芸の方だと伺っていたので、機会があればいっしょに走らせてもらおうと思っていたところなのだが。


ほとんど平坦だと聞いてきたのにスタートしたと思ったら結構な登り、やっと平坦になったと思ったら、いやらしいアップダウンが始まる。
 

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前を行くのはチコリンさん。
嘘だろ!これが所謂北海道の平坦な道!?

こんなのが600kmも続くうえに狩勝峠・白樺峠・幌鹿峠・北見峠?


貧脚さんはゆっくり行くしかない。

それに比べY田さん軍団の速いこと!


ぜ~んぜん追いつけない。一緒に走らせてもらおうなんてレベルではなかった。


39時間で走ると宣言している人達がこのスピードなら、もう結果が出たも同然じゃないか。後はどこまで行けるのか?どこの駅で輪行すればいいかなんていうことを考えながらそれでも行けるところまで頑張ろうと当社比でいつもより速いペースで走った。


57.8km地点の富良野PC1には10:28着。
 

ここで花ちゃんと会う。

どうも一人で走ってるみたいだが、一緒に来た亀太郎の男の人はと聞くと、最初から一緒に走る約束をしてた訳でなく、それにとても速い人なのでスタートからバビューーンといなくなってしまいましたとのこと。


それって女の子一人で来てるのと同じじゃん!!!


ということは、見るところお若く多分独身の花ちゃんは600km二晩を、たった一人で走るつもりなの????


エゾカツカレーどころか本物の蝦夷鹿とかヒグマとかでるかもしれない深夜の陸別への道を?

一人でぇぇぇぇぇぇぇ?


と強く思ったが、思っても助けてあげれるわけでもないので。お互い頑張ろう的なあいさつで誤魔化しながら、さっさとPC1を出た。


なんといってもこれからPC2までは狩勝峠という最初のボスとの戦いが待っているのだ。

北海道らしい雄大な景色の中40kmほど走り南富良野の道の駅を通過した。

昨日花ちゃんに言った通り、ここは通過して次のコンビニで昼食にする予定だ。

道の駅のレストランの横の壁にはたぶんY田軍団の方々のバイクが立てかけてあった。


出来れば花ちゃんも予定どうりここでエゾカツカレーを食べてY田さん軍団に混ぜてもらいといいのになぁ、などと勝手なことを思っていた。


というのも、どうも気になってしょうがない。

若い女の子がこんな過酷なゲームに徹夜を含む二日間も挑むなんて。

しかも、今年からブルベを始めた?

だれも止めなかったのか?


花ちゃんのことばかり気にしながら、でももう会うこともないかもしれないと思いながら道の駅から少し行ったセイコーマートで昼飯休憩に入った。


とにかく貧脚は休憩時間も最小にしなければならない。

しかもまだ序盤だ。

食べやすいおにぎり系を口いっぱいにほうばり・・・・


その口いっぱいのおにぎりを思わず吹き出しそうになってしまった。


花ちゃんが軽やかな脚取りでこのコンビニにやってきたのだ。


な、なんで?

エゾカツカレーは食べなかったの?


聞くとやはり時間的に難しいと考えやめてコンビニ飯にしたとのこと。


でも、なぜこのコンビニに?

偶然?

まるで花ちゃんと自分が縁があるみたいじゃないか?

神様は心配ならお前が一緒に走ってやればいいとおっしゃっているのか?

でもね、神様。自分に実力があればそれもありだけど、自分でさえ精一杯なのに一緒に走っても弱者同士のコンビなんてお互い脚を引っ張って共倒れになるだけじゃないか。


などと頭の中でぐちゃぐちゃ自問自答しているが花ちゃんはそんなことも知らず平和な顔をしてコンビニ弁当を食している。


でも全然進んでない!


食べるの遅い!

おまけにメールなんかしてる!

やっぱり無理!

これは一緒に走ったら共倒れになる!

と判断して心を鬼にして先に行くことにした。


じゃ先に行くからね。僕遅いから狩勝峠でバビューンと抜いてね


花ちゃんは無邪気な顔をして笑顔いっぱいで手を振っている。


その無邪気な笑顔に弱い。

なんだか、めちゃくちゃ心が痛むんですけど!


なんで僕がこんな気持にならなくちゃならないんだ?

まるで、まるで、昔読んだ遠藤周作の小説みたいじゃないか。

【わたしが・棄てた・女】


この時は今考えるとなんて恥ずかしい勝手なことを思っていたのか。


狩勝峠はそれほど手強いわけではなかった。しかし日差しが強く暑さで熱中症の危険が考えられた。

だから少しペースを抑え氷水を体にかけながら進む。


今回600kmを走るにあたって自分に課したノルマがある。


50kmに一回は必ずコンビニに寄って1ボトルは氷水、2本目は氷だけで常に満杯にする。

水は必ず2Lを買い、体を冷やすためにも使う。


食べたいものに加えて、おにぎり1個とエネルギーバー1個を買い、おにぎりは口にエネルギーバーはフロントバッグにいれ25km走ったら食べる。


このルールのおかげで熱中症にならずまたハンガーノックにもかからず、また後述するが眠気との戦いにも勝つことが出来たと思っている。


もうすぐ狩勝峠の頂上というところで歌うような関西弁が聞こえてきた。


「おさきに~」


Y田さん軍団のchikaさんだ。

クライマーだと聞いていたが、細身の体を揺らしながら軽やかに追い抜いていった。

なにか美しい黒いアゲハ蝶を見た気がした。


ということはY田軍団に追いつかれた!?

逃げなくては!

Y田さん達は39時間完走隊である。ならばそれより速く走らねば完走はありえない。


幸い(何が幸いかわからないが)chikaさんは頂上のレストハウスの方へと行ったのでここで休憩するみたいだ。
 

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こちらは休憩なしでさっさと先へと行かせてもらう。


豪快に26kmほど下った先が144.1kmの十勝清水PC2だ。

15:39着 自分の予定より1時間ほど速いペースだ。

クローズまでの貯金は2時間。


ここからこのブルベのメインイベント、然別湖から幌鹿峠越え糠平湖までの64kmの区間が始まる。

計画ではここで脚を使い切らないこと。適度に休憩を入れて21時までに着く予定を立てている。


1%ほどの斜度の道が延々と続く。一見平坦に見えるので速度が上がらないことに焦りを感じるが我慢・我慢。

ゆっくりで良いのだ。

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この時、這いつくばるようなライディングフォームの年配の方から抜かれた。

「後ろ姿に元気がない!!」と大きな声で怒鳴られた。


いや別に元気はあるんですけど、ただコントロールしているだけで。

と思ったがまあいいや、善意の気合だと思って苦笑いしながら進むと、2kmぐらい行ったところで先程の気合オジサンが道端に座ってうなだれている。

大丈夫ですかと聞くと

「疲れちゃった」

とのこと。まあ、病気でもなさそうなので、先を急ぐ。


然別湖までの登りに入り、6%ほどの傾斜が延々と続く。

この6%ほどの傾斜が延々と続くのが北海道の峠の特徴で、足休めがない。

続くといったら本当に続くのだ。

容赦がないのである。

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これがいい加減売り切れ気味の脚に効く。

白樺峠の前の扇原展望台で小休止を余儀なくされる。

大丈夫、まだ予定通りだ。
 

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夕暮れを迎えた広大なパノラマを愛でていたら、下の方からなにやらピンクの物体がゆらゆらと近づいてくる。


心臓がひっくり返りそうになった。

花ちゃん、その人である。


あっ、お疲れさま~とあの無邪気な笑顔で・・・


ここまで一人で登ってきたのかと驚きと少なからずの感動を覚えた。


するとY田軍団の皆様も次々と登ってくる。

聞くと前のPCから一緒に走ってるとのこと。


それは本当に良かった。

このペースで平気な顔をして登ってくる花ちゃんは、さすが600km走りに北海道までくるだけのことはある。それなりの実力の持ち主であると見直した。

そのうえY田軍団と一緒に走れるのなら、完走も間違いないし、心配した夜の危険もないだろう。正直ほっとした。


良かったのだが、今度は自分が危ない。

自分はスタートでY田軍団にちぎられているのだ。


Y田軍団がメイン集団で自分は逃げをうっている新城幸也の心境になっていたのだ。


やばい、花ちゃんとまた会えたのに話しもせずまた逃げるように先を急いだ。


花ちゃん、君から逃げたんじゃないんだ。タイムアウトDNFから逃げたんだぜ。










会津そしてラスボスとの戦いで北海道へ

会津トライアル、行ってきたどー!


いったい、いつの話よ?


えーと・・・  わかんな~い (^O^)


おまえは、ローラかっ! ( ・`ω・´)


申し訳ない、ずいぶん昔の話になってしまいました。

7月14日にAJ神奈川さん主催の会津トライアルに行ってきました。


これは福島を治める大魔王ちゃりけんさんと会津に思い入れがあるAJ神奈川の主催者の方のエネルギーが合体して昇華し爆発して出来たブルベなのである。

まだ今年は正式認定が間に合わずトライアルだが来年の秋に正式ブルベとして実行される見込みだという。


ところが前日入りして泊まった宿が、世界32カ国を旅して歩いた自分にとっても最悪三本指に入るであろう悪宿で、すっかりライフエネルギーを消耗してしまった。


だって温泉だというから予約したのに、お風呂は8時までです。なぜなら宿主人が朝早いからボイラー止めたいからだと。


エアコン付きだというから予約したのに、60分100円のコイン投入式だった。

隣の建物との隙間が30cmほどしか無く、極度に蒸し暑い部屋だったが、寝てからコイン投入できないだろっ!

暑くてほとんど寝られなかった。


夕食が酷い。本当に酷い。不味いを超えている。

下の写真に写っている汚い雑巾。多分テーブル拭きだと思うのだが自分が席につく時は鮭の切り身の上に鎮座しておりました。

汚ねーじゃないか!
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すべての食物が何か臭う。湿っていて臭くてフニャフニャしてて気持ち悪い。

とても食えたもんじゃないっ!


ねえ、いつまで宿の悪口言ってるの?

ブルベのこと書かなくていいの?


はぁ、はぁ、だって福島の復興たってこんな気持で商売やられたんじゃ他の頑張っている福島の人達に・・・


分かった分かったから。もう貴方が次から泊まらなきゃいいだけでしょ、次いこっ。


ああ、うん。


そんなこんなで寝不足、栄養不足で猪苗代湖畔のスタート地点まで5kmほど自走。
このスタート地点の雪見荘は、ご主人が親切で食事も美味しいし昨日の宿とは天と地の差がある三ツ星民宿だった。
最初からここに泊まれば良かった。
それにしても昨日の宿は酷かった。だって・・・

やめなさいってば!
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昨晩から降り続いている雨は、なんとか止んでいるが道は真っ黒に濡れている。

スタートしてから桧原湖まで370mほど標高を上げる道が続くのだが、やはり脚が回らない。なんというか腹に力が入らないから出力も上がらない感じ。

やっぱり殿を務める最後尾部隊所属となってしまった。


思うにつけ昨日泊まった宿は・・・


やめいっ!!!

宿の話はもう金輪際しない!!!


あっ、う、はい。


桧原湖からの豪快な下りを楽しもうと50km/hを超えた時、ブルベーが何人か道端に停まっている。

カーボンホイールを恥ずかしいくらい鳴かせて急停車をして聞いてみると、ガーミンのGPSを落とした人がいて、皆で探してるらしい。

そりゃ大変っていうことで一緒に探しだすが、よく聞いてみると落ちた時自分の太ももで跳ねあげてどこかに飛んでいったらしい。たぶん右側のジャングルの中だ。

これは、可哀想だが見つからないと見て、先を急ぐことにした。


20kmほどのダウンヒルをふっ飛ばしたおかげで、200kmを8時間とかで走る一風変わった趣味をお持ちの方々を除いて、一般人のブルベーの方々に追いつくことが出来た。


ここから喜多方・柳津・美里と平坦基調の道が続くが、今度は雨があがり太陽が出てくると暑くて蒸し暑い盆地特有気候に悩まされることになる。


なんとか頑張ったのだが美里あたりで目眩が酷くなり自主休憩。

自販で買った500mlの水2本を頭から被り、なんとか生還。


芦の牧温泉までちょっと登ってなんとか2時間の貯金も出来たし、今日はなんとかなるかと安心したので、 スタッフお薦めのラーメン屋に飛び込む。
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いやあ、優子、美味しい!ほ~~んとっ美味しかった。

昨晩の悪夢からやっと逃れることが出来たような気がする。

自分の後、猫の駅長さんを観に行っていた「けーこ」さんがこのラーメン屋に入ったらしいのだが、焼きそばを頼むも散々待たされて1時間もいたらしい。

可哀想に。こういうことがあるから、ブルベで迂闊に食堂に入れないんだよなぁ。


ここから、羽鳥湖まで約30kmにわたり登りが続くのだが美味しいラーメンで元気いっぱいになった自分は楽々とこなし・・・


という風にはならなかった。

芦ノ牧温泉を過ぎて国道から大川ダムの裏側に行く頃、また雨が酷くなり豪雨と言っていい状態になってきた。

しかし、雨なのに暑い。蒸す。

何度も休憩をはさみふらふらと羽鳥湖畔にあるPC3に滑り込んだときは貯金は30分まで削り取られていた。


まだここから鳳坂峠・勢至堂峠と戦わなければいけないので、休憩もそこそこ雨の中に飛び出した。


鳳坂峠はなんとか越したものの、勢至堂峠でついに脚が完全に昇天してしまった。


ふらふらと夢遊病患者のように漂いながらのぼっている脇をけーこさんがどビューンと軽やかに抜いていった。

はえ~~~!!!!!!


け~こさんに抜かれてから、もう根性とか意地とかそういう頑張るための気持ちがすっかり抜け落ちてしまい、最初のうちは写真を撮るふり休憩でごまかしたものの、ついに100m走っては休憩とロードを買って最初のツーリング状態に陥ってしまった。


ねえ、たった200kmでそんなになっちゃうのってヤバくない?


ヤバくないったって、ヤバイけどなっちまったもんはしょうがない。


それで、これから600kmも走りに北海道くんだりまで行くんだ?


うううううううう


まあ、とにかく勢至堂峠を越え猪苗代湖までの下りに入った。

ブロック屋さんから教わったように、脚のアップ・アップを心がけて110ぐらいのケイデンスで廻していたら、すっかり死んでいた脚も徐々に回復してきた。

雨が強まり豪雨状態になってきたので、途中のスーパーに逃げ込んで30分くらいの休憩をはさんだが、脚が回復してきたおかげでそれからは30km/hオーバーで走ることができるようになり、なんとか時間内にゴールに滑りこむことが出来た。


下の写真は最後に姿を見せたシャイな会津磐梯山。

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ちゃりけんさん、自分の体調管理のいたらなさで苦しみましたが、晴れていれば素晴らしい観光コースとなること間違いないです。

来年の秋の本ブルベ楽しみにしています。1年間本当にお疲れ様でした。


AJ神奈川のスタッフの皆様。

本当にお世話になりました。

終わった後の懇親会では色々な話を聞けて、とても楽しかったです。


ねえ、だけどさ、本当にこんなヨワヨワで北海道600km大丈夫なの?


だって去年の暮北海道の大雪600をエントリーしてからこれを完走するために逆算して色々頑張ってきたんだから、頑張ってみるよ。


YO-TAさんから「北の大地を堪能してきて下さい」ってコメントいただいてるわよ。


うん、ありがたいね。


これって、どうせ遅いんだからあまり無理しないで楽しんできなさいって言う意味だと思うけどな。


ううう、まあ、そうかもしれない。

出来ることを、淡々とやって駄目ならしょうがないさ。

でもね、会津のその後の懇親会で、ちゃりけんさんとチコリンさんから励まされたんだ。


なんて?


うん、北海道の人達はみんな優しくて紳士的だから、本州からきた弱者を必ず助けてくれるって。


本当かなぁ?そんなことって、ある?


あるさ、現に去年の大雪600では、200kmしか走ったことのない福島の寺美人さんを北海道のYさん達が優しくエスコートして完走させてあげたって言ってたし。


ふ~ん、それって女性だからでしょ?

恐ろしく遅いオッサンなんか、誰もかまってくれないと思うよ~。


そうかな~?

あっ、それとGOKISOつながりのiwanさんもいるし、とても心強いんだ。


大変!!!、ねえ、見てこれ。


何?大きな声だして?


Yさん、この間の岡山1000で膝を痛めて大雪出れるかわからないってご自分のブログに書いてある。


あっ、うっ、・・・


あら、それに加えてiwanさんも北海道1200の試走で膝を痛めてどうなるかわからないって。


じぇじぇじぇじぇじぇぇぇぇぇぇぇ????


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