DNFもままならない状況で、ありったけの呪詛と愚痴にまみれながら、なんとか九十九里浜のPC2に到着した。
やっと97km。あと210km!

時刻は3時50分頃だと思う。
貯金はたった40分程まで減ってしまった。

ここからは平坦な海沿い半分、アップダウンのある山沿い半分の道のり。
次のPC3までに少なくとも1時間の貯金に戻しておかないと完走はおぼつかない。
迷ったが、まだ暗く鉄道も通っていない九十九里の漁港ではDNFするにしても次の行動が見えないので、しかたなく休憩もそこそこに次のPCを目指して進むことにする。

ここで愚かにも忘れていた秘密兵器
山歩きをする我が奥様から勧められて持参した漢方薬。

   tj-068

芍薬甘草湯を飲んでみた。
これが、大正解。
平地無風状態で時速23kmくらいは出るようになってきた。
しかし25kmを超えると、とたんにピキピキが始まる。

それでも平坦・無風に助けられ、すこし貯金を増やすことが出来た。
しかしこれから内陸の山々へ向かわなければならない。
もともと山越えに備えて135km地点、大多喜のミニストップで自主休憩するつもりだった。

それだけを楽しみに、暗闇の中一人ぼっちで苦闘を続けていたのだが・・・

あれ?ミニストップがない!?

ちゃんと事前にWebで調べてきたのに、潰れたのか存在しなかった。
経営が苦しくたって勝手に辞めるな!
お前を死ぬほど頼りにしてくる者もあるのだ!

呆然としたまま、最初の難関、三石山へと登って行くことになる。
コンビニ休憩が出来なかったのは、随分とショックだった。
あともうちょっとで休める、あともうちょっとで温かい所で熱いものを食べられる・・・
それだけを生きる糧にして苦行に耐えてきたのに・・・。

しかたないので、寒空のもと暗闇にぽつんと光る自動販売機で100円玉で買える缶コーヒーと2服目の芍薬甘草湯を飲んで、峻峰「三石山」へと登って行くことになる。

ここでまたトラブル発生。
サイコンが動かないため、ガーミンetrex30を地図表示にしたりサイコン表示にしたりいじりながらきたのだが、突然全画面がピンクになって何もわからない状態になってしまった。

なぜ次々とトラブルが起きる?
これだけ耐えて頑張っているのに、神はなぜまだ試そうとするのか?
それとも運命に従い、もう苦行を止めよということなのか?

唖然としながらあーでもこーでもないと色々いじり、最終的に2回目の電源入りでなんとか元の表示に戻すことができた。
しかし、ここから怖くてガーミンはいじれなくなり、完全に距離と時間が分からないまま走行をすることになる。

その上、盲信してたガーミン様の突然の錯乱に動揺したためかミスコースを二度ほどやらかしてしまった。ここにきてのミスコースは痛い。
しかしこのような余裕のないライドではそれもいたしかたあるまい。
そんなこんなで、いやらしいアップダウンを繰り返すうちにやっと夜が明けてきた。

P1000140


ここからは三石山なのだが、正直言って房総の山なんて山形のあの恐ろしい山々から比べれば可憐な少女みたいなものさなんて舐めていたのだが、いやいやどうして、超弩級のベテラン熟女。

なにせペダルに一定以上の力はかけれない。
時速はついに5kmを下回るようになる。
しかも道幅いっぱいにつかって蛇行走行。

時間は刻々と過ぎていくため休憩は出来ない。
よろよろ、へなへな、あっ危ない、よろよろ・・・
こんな感じで進み、なんとか峠の頂上に。

あまりの達成感に写真まで撮ってしまった。

P1000142


これだけ登ったのだから下りで今までの時間を取り戻さなくては。
さあ、いくぞ!
ところが・・・

下り坂が急すぎる!!

それに何!?このグルーチング!!!

危なくて怖くて全然スピード出せない!
谷底へ落ちて行くような急勾配にブレーキをかけっぱなしでちっともスピードを出せない。
やっと普通の下り坂になったと思ったら、古代の遺跡かと思いたくなるような朽ち果てたグルーチングが、意地悪そうに口を開けて待っている。
元気なときならジャンプで乗り越えるのだが、今は残念な状態の太もも達がそれを許さない。
グルーチングが現れるたびに徐行スピードまで減速を余儀なくされた。

それでも太陽の有難味と下り坂の恩恵で無事PC3に到着。
ここまで167km。
こんなに苦労してやっと半分。 
恐ろしや、ブルベ。

時刻は8時15分頃。
平均時速にして約16km程か。
まったく情けない限りだが、それでもなんとか1時間弱の貯金が出来た。
しかし、 あと丸一日走りきれるだろうか?
自分の心と体に問いかけるが、ここに来て少し欲が出てきた。

もしかして、なんとか、なるかも? 

ここからは鴨川まで下り。
そして 海岸沿いに館山まで平坦。
向かい風が厳しい地点だが幸い今日はほぼ無風じゃないか。
上手く行けば1時間強の貯金が出来るかもしれない。
そうなれば・・・もしそうなれば完走でき%'S$#"・・・
いやいや、ここまで頑張ったんだ、館山まで行ってそこでダメならしかたないが、やって見る価値はあるんじゃないか?
それにこのPCには初めてお仲間達10名と一緒になることが出来た。
自分は哀れな最後尾一人旅じゃなかったんだ。

今までは暗いし寒いし、DNFするために進んできたようなものだったが、初めてやっと本来のブルベに立ち返ってゴールを目指す計算が出来るようになった。

弱者は休む権利などないっ!

ということで、ここでも休憩は10分ほど、おにぎりを頬張りながら鴨川有料道路を下っていった。 
しかし、行手には更なる罠の数々が・・・。

                                     つづく・・・