終わったどぉー。
恐怖のブルベ4連チャン、毎週ブルベ月間終了ーーー。
ちょっとぉ、更新遅すぎっ!
だって、二日間はブルベのブの字も自転車の自の字も見るのも嫌だったんだ。
まあ、しょうがないか。
おつかれさま。
よく投げ出さないで1ヶ月頑張ったね~。
おお優子、ありがとう。
1ヶ月の間、何回も止めようと思ったことか。
でも優子も毎週の長距離ドライブにも頑張ってくれてたし、なんとか終わることが出来たよ。
で、今回はどんな感じだったの?
今回のブルベはAJ宇都宮10周年記念ということで、AJ宇都宮最初のブルベの再現コースを走ったんだ。
いつもの見慣れたブリーフィング光景。
10周年記念ということで、自分でも知っているブルベ界でも有名な古狸 ベテランの方々が見受けられる。
ブリーフィングでは、国道区間が多く交通量が多いので十分注意するようにとの注意があったが。
大丈夫ですっ! アタック小田原や、曽我梅林で苦しめられた国道134号や横浜駅前の邪悪な交通量にくらべれば、のどかなもんでしたよ、スタッフの皆さん。
ウェーブスタート4番目で久慈サンピア日立を7時5分にスタート。
気温は0度くらいか、寒いけどもう慣れた。
快晴・微風、昨日の強風に比べ好条件が揃った。
これは、初めての10時間台も狙えるかも。
前回から、スタートして20分間は脚の不具合を見つける業務点検時間にすることにしている。
ん?右足首がちょっと痛いな、少しパワーを落として様子を見よう
あらら、今度は左の膝裏に微かな痛みが・・・
大丈夫かな、不安だな、またもう少しパワーを落として様子を見よう
こんな感じで、慎重にも慎重を期して各部を点検するのだ。
まあ、あちこち痛いことは痛いけど、たいした事なさそうだし体も温まってきたことだし、そろそろ行くかと思ったら、ランドヌールの田村編集長率いるトレインにびゅんと追い抜かされたので、少し距離を置いて従いて行くことにした。
結構速い。
特に、上りはダンシング一辺倒で、ぐんぐん登っていく。
はは~ん、編集長、今年は何かチャレンジするようなこと書いていたけど◯◯のことかぁ。
なんて思っているうちに、息があがってきた。
ついていけねぇ~~!
なんていうか、脚が全然回らなくて、平地25kmから28kmぐらいでも心拍数が150を越えている。
こりゃダメだっていうことで、ペースを落としがっかりして視線を落としたその時に
な、なんじゃこりゃあ!?
アウターの白いジャケットが血だらけで赤く染まっている。
これは、たぶん・・・
グローブで顔を拭うと、グローブも赤く染まってしまった。
は、鼻血だっ!
自分は疲労が蓄積したり、内蔵に不具合がある時には、必ず蕁麻疹か鼻孔内の血管が切れ鼻血が出る体質なのだ。
仕方がない、緊急停車を余儀なくされた。
そしてティッシュを鼻に詰め、下を向き、指で鼻の根元を押さえて鼻血が収まるのを待った。
良い子の皆さん、鼻血が出たときは上を向いてはいけませんよ。血が気管に詰まって危険です。
by 医者
やっぱり4週目ともなるとサカつくみたいに見えない疲労が蓄積するのかなぁ、今日も先が思いやられるななどと意気消沈しながら、またとぼとぼと進みだした。
それでも32.8km先のPC1には8時34分に到着。
平均22kmぐらい出てるから、鼻血休憩を考えれば良しとしようなんて思っていた。
これからどんどん、だだ下がりにパフォーマンスが落ちて行くのも知らずに。
PC2までは、それまでの国道からそれて「和の道」という慣れ親しんだ山形のような山間部田舎道を通る。
しかし、脚が回らない、パワーがかけられない。
あっという間に34-28Tのインナーローに落ちてしまい、得意技のへろへろよろよろ走法を序盤から披露することになる。
75.9km地点PC2の道の駅きつれがわに10時57分着。
PC1~PC2までの平均時速は18kmまで落ちてしまった。
今まではどんなに疲れても食欲だけは旺盛だったのに、何も食べる気がしない。
これじゃいかんと思い、スタッフお薦めのたい焼きを食するが、いまいち喉を通らない。
しかたがないので補給食のチョコレートとPowerBarジェルで凌いで、折り返し地点の宇都宮サイクリングターミナルへ向かった。
今までも微風なれど向かい風だったのが、この区間でははっきり分かるほどの強さになり、ほぼ平地でさえも時速20kmをきるようにようになってきた。
思い出したようにダンシングで25km以上出して自分を叱咤するのだが、今度は心拍が上がらずパワーをかけ続けることが出来ず、また20km程度に落ちてしまう。
国道293号でこんな低次元の戦いを続けているうちに、サイクリングターミナルへの分かれ道へときた。
ここからの激坂が堪えた。
あたりには過去の数多くのランドヌール達の呪詛が言霊となって漂っていた。
「最後の最後にこんな坂登らすなよっ!」
何人かの方は潔く押し歩きをなさっていたが、貧脚のくせに見栄っ張りの自分はロードバイクの聖地での押し歩きを自分に許すことが出来ず、ヒィィィーーーと喉から断末魔の小動物が発するような音を出しながら、異様に流れでる汗で視界がぼやけるのも構わず、右へ左へ左から右へと今にも止まるぞと見ている人をハラハラさせるような遅さで登っていった。
まるではいつくばるように。
折り返し地点サイクリングターミナル着12時44分。
平均時速16.4km!
コーラを飲んで、ピクピクとリズミカルにうごめく太ももを伸ばしながら隣の人に話しかける。
「結構向かい風きつかったですね。」
「本当に。100kmを6時間もかかってしまいましたからね。
でも帰りは追い風ですから、頑張って行きましよう。」
「そうですよね、追い風ですよねっ!そうかぁ、追い風かぁ」
そう、行きに向かい風ならば、同じ道を帰るのならそれは追い風でなければならない。
そう思い、よたよたとサイクリングターミナルを出たのだが・・・。
残念!国道293号は向かい風でした。
あれぇぇぇ?
30分前は西風だったのに、なぜ今東風?
下りなのに漕いでも30kmも出ないぞ?
うわっ!5%の上りでもインナーローで時速10kmかよ。
あと100kmもあるのにどうしよう。
気持ちが、キレそう、ああ、嫌だ、どうしよう。
でもこの段階でDNFは格好悪いしなぁ。
ああ、でも、止めたい、辛い、風呂入りたい。
ブルベをするようになって、こういうネガティブな愚痴を実際に口に出すのが暗い快感になってきたような気がする。
これが、ブルベマゾっていうやつなのか!
それでもペダルを回し続ければ、少しづつでも進む。
PC4のセブンイレブンには14:24分に着く。
区間時速17.2km。
何か形あるものを腹に入れたかったのだが、貧脚グループ特有の悲哀、コンビニの棚にすでに何も無い現象がおきており、バナナとエネルギージェルだけ喉に流しこみ最後の戦いへと漕ぎ出した。
この区間にはラスボスと言えるちょとした峠がある。
元気なときにはなんということのない峠なのだが、体調不良の上、150kmにもおよぶ向かい風にやられた身には結構辛い。
斜度はたいした事はないのだが、登って降りてまた登ってと頂が3箇所もあり距離も長い山なのだが。
当然インナーロー、時速10km以下、それも維持できず8km,7kmと落ちていき・・・
あれ!?前をよたよた走っている、この寒いのに短パンを履いたブルベーは、もしやしてフィリップさん?
まさか、あの光より速いフィリップさんがこんな所にいるわけが・・・
いや、確かにもうとっくにゴールしているはずのフィリップさんが、辛そうに喘いでいる。
なんとよたよたとフィリップさんに追いついてしまった。
顔を見ると、尋常じゃない白さというか、血の気がまったくない。
思わず「大丈夫ですか?」と声をかけてしまった。
「どうもダメみたいなので、どっかで休みます。どうか気になさらずに先に行ってください」
「あっ、いえ、あの、自分これが精一杯なので先に行けません」
フィリップさんはまさか時速5kmで走る自分より先に行けない人の存在が理解できないのか、不思議なものをみるような目をしてしばらく俺の顔を眺めていたが、小さく顔を横に振ると、ビューーーンとあっという間にすっ飛んで行ってしまった。
速っ!やれば出来るんじゃん!
当たり前のことをつぶやきながら峠を下ると、向かい風は尚の事強まっていた。
もはや脚だけでなく体全体が消耗しきっていて、道路の上を漂う塵のような存在と化していた。
しかしこんな状態でも仲間というのはいるもんで、先程から自分の後ろに付いている長身の若者がいる。長い緩やかな勾配のところで抜きにかかろうとするのだが、彼も消耗しきっていてなかなか抜け切れずにいるのだが、気になって鬱陶しいので
「先にいきますか?どきますよ?」
と声をかけてみると
「行きたくても脚が言うことをきかないんです」
と蚊の鳴くような声が返ってきた。
弱者どうしの悲しい心の触れ合いが可笑しくて、道を避けて先にいかしたのだが
彼もとことん消耗しきっていたのか、先に行くどころか、詰まってしまうくらい遅かった。
しょうがないから時速20kmにもいかない彼の後をしばらく付いて行ったのだが、あまりにも楽だったので脚がなにやら回復してきた。
ゴールまで残り10km程になった時、
「最後、頑張るから、お先にぃぃぃ」
とアタックをかけたのだが、思った以上に脚が回り、なんと時速35kmも出てしまった。
若者は当然付いてこれず、振り返るともう点のようになっている。
どうだ!若者よ!これがオジンの底力だなんて、最後だけ気分を良くしてゴールに滑り込んだ。
ゴール時刻 18時51分 区間時速 15.8km
合計 11時間46分 平均時速17km
こうして地獄の4連戦最終戦は、不甲斐ない結果に終わってしまったが、完走は完走。
1ヶ月でブルベ900kmを走りきったことは、満足だしこれからの戦いにも繋げていけるのではないかと自己評価している。
ふぁ~~あ、終わった?
なんだ、寝てたのか?
だって、長すぎるんだもん。
優子、どうだ?俺はやったぞ。
最初の計画を完遂したんだ。
本当に辛かったけど、それだけに達成感は最高だぜ。
よかったねー、えらい、えらい。
これで次の300kmや400km、そして600kmや夢の1000kmに向けて・・・
ん?優子、何やっているの?
去年と比べてどの位速くなっているか計算してるの。
えっ?計算?
そう、計算。去年が6回、計1,500kmで・・・
あ、あの、いいよ、計算なんか、その、もっとアバウトな情緒みたいなの大切にし・・・
あれ?去年の平均時速が17kmで、今年が、えーと16.2km?
・・・
遅くなってんじゃん!
うっ、だ、だから脚つりとか信号地獄とか鼻血とか色々あったし・・・
去年だってブルベデビューの牛久200から始まって、パンク2回GPS故障の日光300とか豪雨・強風のアタック阿仁300とか獲得標高2,800mの十和田とか色々あったじゃない。それなのに?
あぅ、あ、その、だから
遅くなってんじゃん!
う、・・・
あんなにお金かけて辛い思いして去年より遅くなってるってどういうことよ。
見てよ、私のスタッドレス!
毎週乾いた高速道路を何千キロも走らされて、もうツルンツルンじゃない。
あ、いや、ごめん・・・
この体たらくで400kmとか600kmとか、あたまおかしい!
・・・
何よ、何か言いなさいよ
・・・
ばか、泣いてるの?
ひっ・・・
泣いてる暇あるんなら、トレーニングメニューでも作りなさいっ!
恐怖のブルベ4連チャン、毎週ブルベ月間終了ーーー。
ちょっとぉ、更新遅すぎっ!
だって、二日間はブルベのブの字も自転車の自の字も見るのも嫌だったんだ。
まあ、しょうがないか。
おつかれさま。
よく投げ出さないで1ヶ月頑張ったね~。
おお優子、ありがとう。
1ヶ月の間、何回も止めようと思ったことか。
でも優子も毎週の長距離ドライブにも頑張ってくれてたし、なんとか終わることが出来たよ。
で、今回はどんな感じだったの?
今回のブルベはAJ宇都宮10周年記念ということで、AJ宇都宮最初のブルベの再現コースを走ったんだ。
いつもの見慣れたブリーフィング光景。
10周年記念ということで、自分でも知っているブルベ界でも有名な
ブリーフィングでは、国道区間が多く交通量が多いので十分注意するようにとの注意があったが。
大丈夫ですっ! アタック小田原や、曽我梅林で苦しめられた国道134号や横浜駅前の邪悪な交通量にくらべれば、のどかなもんでしたよ、スタッフの皆さん。
ウェーブスタート4番目で久慈サンピア日立を7時5分にスタート。
気温は0度くらいか、寒いけどもう慣れた。
快晴・微風、昨日の強風に比べ好条件が揃った。
これは、初めての10時間台も狙えるかも。
前回から、スタートして20分間は脚の不具合を見つける業務点検時間にすることにしている。
ん?右足首がちょっと痛いな、少しパワーを落として様子を見よう
あらら、今度は左の膝裏に微かな痛みが・・・
大丈夫かな、不安だな、またもう少しパワーを落として様子を見よう
こんな感じで、慎重にも慎重を期して各部を点検するのだ。
まあ、あちこち痛いことは痛いけど、たいした事なさそうだし体も温まってきたことだし、そろそろ行くかと思ったら、ランドヌールの田村編集長率いるトレインにびゅんと追い抜かされたので、少し距離を置いて従いて行くことにした。
結構速い。
特に、上りはダンシング一辺倒で、ぐんぐん登っていく。
はは~ん、編集長、今年は何かチャレンジするようなこと書いていたけど◯◯のことかぁ。
なんて思っているうちに、息があがってきた。
ついていけねぇ~~!
なんていうか、脚が全然回らなくて、平地25kmから28kmぐらいでも心拍数が150を越えている。
こりゃダメだっていうことで、ペースを落としがっかりして視線を落としたその時に
な、なんじゃこりゃあ!?
アウターの白いジャケットが血だらけで赤く染まっている。
これは、たぶん・・・
グローブで顔を拭うと、グローブも赤く染まってしまった。
は、鼻血だっ!
自分は疲労が蓄積したり、内蔵に不具合がある時には、必ず蕁麻疹か鼻孔内の血管が切れ鼻血が出る体質なのだ。
仕方がない、緊急停車を余儀なくされた。
そしてティッシュを鼻に詰め、下を向き、指で鼻の根元を押さえて鼻血が収まるのを待った。
良い子の皆さん、鼻血が出たときは上を向いてはいけませんよ。血が気管に詰まって危険です。
by 医者
やっぱり4週目ともなるとサカつくみたいに見えない疲労が蓄積するのかなぁ、今日も先が思いやられるななどと意気消沈しながら、またとぼとぼと進みだした。
それでも32.8km先のPC1には8時34分に到着。
平均22kmぐらい出てるから、鼻血休憩を考えれば良しとしようなんて思っていた。
これからどんどん、だだ下がりにパフォーマンスが落ちて行くのも知らずに。
PC2までは、それまでの国道からそれて「和の道」という慣れ親しんだ山形のような山間部田舎道を通る。
しかし、脚が回らない、パワーがかけられない。
あっという間に34-28Tのインナーローに落ちてしまい、得意技のへろへろよろよろ走法を序盤から披露することになる。
75.9km地点PC2の道の駅きつれがわに10時57分着。
PC1~PC2までの平均時速は18kmまで落ちてしまった。
今まではどんなに疲れても食欲だけは旺盛だったのに、何も食べる気がしない。
これじゃいかんと思い、スタッフお薦めのたい焼きを食するが、いまいち喉を通らない。
しかたがないので補給食のチョコレートとPowerBarジェルで凌いで、折り返し地点の宇都宮サイクリングターミナルへ向かった。
今までも微風なれど向かい風だったのが、この区間でははっきり分かるほどの強さになり、ほぼ平地でさえも時速20kmをきるようにようになってきた。
思い出したようにダンシングで25km以上出して自分を叱咤するのだが、今度は心拍が上がらずパワーをかけ続けることが出来ず、また20km程度に落ちてしまう。
国道293号でこんな低次元の戦いを続けているうちに、サイクリングターミナルへの分かれ道へときた。
ここからの激坂が堪えた。
あたりには過去の数多くのランドヌール達の呪詛が言霊となって漂っていた。
「最後の最後にこんな坂登らすなよっ!」
何人かの方は潔く押し歩きをなさっていたが、貧脚のくせに見栄っ張りの自分はロードバイクの聖地での押し歩きを自分に許すことが出来ず、ヒィィィーーーと喉から断末魔の小動物が発するような音を出しながら、異様に流れでる汗で視界がぼやけるのも構わず、右へ左へ左から右へと今にも止まるぞと見ている人をハラハラさせるような遅さで登っていった。
まるではいつくばるように。
折り返し地点サイクリングターミナル着12時44分。
平均時速16.4km!
コーラを飲んで、ピクピクとリズミカルにうごめく太ももを伸ばしながら隣の人に話しかける。
「結構向かい風きつかったですね。」
「本当に。100kmを6時間もかかってしまいましたからね。
でも帰りは追い風ですから、頑張って行きましよう。」
「そうですよね、追い風ですよねっ!そうかぁ、追い風かぁ」
そう、行きに向かい風ならば、同じ道を帰るのならそれは追い風でなければならない。
そう思い、よたよたとサイクリングターミナルを出たのだが・・・。
残念!国道293号は向かい風でした。
あれぇぇぇ?
30分前は西風だったのに、なぜ今東風?
下りなのに漕いでも30kmも出ないぞ?
うわっ!5%の上りでもインナーローで時速10kmかよ。
あと100kmもあるのにどうしよう。
気持ちが、キレそう、ああ、嫌だ、どうしよう。
でもこの段階でDNFは格好悪いしなぁ。
ああ、でも、止めたい、辛い、風呂入りたい。
ブルベをするようになって、こういうネガティブな愚痴を実際に口に出すのが暗い快感になってきたような気がする。
これが、ブルベマゾっていうやつなのか!
それでもペダルを回し続ければ、少しづつでも進む。
PC4のセブンイレブンには14:24分に着く。
区間時速17.2km。
何か形あるものを腹に入れたかったのだが、貧脚グループ特有の悲哀、コンビニの棚にすでに何も無い現象がおきており、バナナとエネルギージェルだけ喉に流しこみ最後の戦いへと漕ぎ出した。
この区間にはラスボスと言えるちょとした峠がある。
元気なときにはなんということのない峠なのだが、体調不良の上、150kmにもおよぶ向かい風にやられた身には結構辛い。
斜度はたいした事はないのだが、登って降りてまた登ってと頂が3箇所もあり距離も長い山なのだが。
当然インナーロー、時速10km以下、それも維持できず8km,7kmと落ちていき・・・
あれ!?前をよたよた走っている、この寒いのに短パンを履いたブルベーは、もしやしてフィリップさん?
まさか、あの光より速いフィリップさんがこんな所にいるわけが・・・
いや、確かにもうとっくにゴールしているはずのフィリップさんが、辛そうに喘いでいる。
なんとよたよたとフィリップさんに追いついてしまった。
顔を見ると、尋常じゃない白さというか、血の気がまったくない。
思わず「大丈夫ですか?」と声をかけてしまった。
「どうもダメみたいなので、どっかで休みます。どうか気になさらずに先に行ってください」
「あっ、いえ、あの、自分これが精一杯なので先に行けません」
フィリップさんはまさか時速5kmで走る自分より先に行けない人の存在が理解できないのか、不思議なものをみるような目をしてしばらく俺の顔を眺めていたが、小さく顔を横に振ると、ビューーーンとあっという間にすっ飛んで行ってしまった。
速っ!やれば出来るんじゃん!
当たり前のことをつぶやきながら峠を下ると、向かい風は尚の事強まっていた。
もはや脚だけでなく体全体が消耗しきっていて、道路の上を漂う塵のような存在と化していた。
しかしこんな状態でも仲間というのはいるもんで、先程から自分の後ろに付いている長身の若者がいる。長い緩やかな勾配のところで抜きにかかろうとするのだが、彼も消耗しきっていてなかなか抜け切れずにいるのだが、気になって鬱陶しいので
「先にいきますか?どきますよ?」
と声をかけてみると
「行きたくても脚が言うことをきかないんです」
と蚊の鳴くような声が返ってきた。
弱者どうしの悲しい心の触れ合いが可笑しくて、道を避けて先にいかしたのだが
彼もとことん消耗しきっていたのか、先に行くどころか、詰まってしまうくらい遅かった。
しょうがないから時速20kmにもいかない彼の後をしばらく付いて行ったのだが、あまりにも楽だったので脚がなにやら回復してきた。
ゴールまで残り10km程になった時、
「最後、頑張るから、お先にぃぃぃ」
とアタックをかけたのだが、思った以上に脚が回り、なんと時速35kmも出てしまった。
若者は当然付いてこれず、振り返るともう点のようになっている。
どうだ!若者よ!これがオジンの底力だなんて、最後だけ気分を良くしてゴールに滑り込んだ。
ゴール時刻 18時51分 区間時速 15.8km
合計 11時間46分 平均時速17km
こうして地獄の4連戦最終戦は、不甲斐ない結果に終わってしまったが、完走は完走。
1ヶ月でブルベ900kmを走りきったことは、満足だしこれからの戦いにも繋げていけるのではないかと自己評価している。
ふぁ~~あ、終わった?
なんだ、寝てたのか?
だって、長すぎるんだもん。
優子、どうだ?俺はやったぞ。
最初の計画を完遂したんだ。
本当に辛かったけど、それだけに達成感は最高だぜ。
よかったねー、えらい、えらい。
これで次の300kmや400km、そして600kmや夢の1000kmに向けて・・・
ん?優子、何やっているの?
去年と比べてどの位速くなっているか計算してるの。
えっ?計算?
そう、計算。去年が6回、計1,500kmで・・・
あ、あの、いいよ、計算なんか、その、もっとアバウトな情緒みたいなの大切にし・・・
あれ?去年の平均時速が17kmで、今年が、えーと16.2km?
・・・
遅くなってんじゃん!
うっ、だ、だから脚つりとか信号地獄とか鼻血とか色々あったし・・・
去年だってブルベデビューの牛久200から始まって、パンク2回GPS故障の日光300とか豪雨・強風のアタック阿仁300とか獲得標高2,800mの十和田とか色々あったじゃない。それなのに?
あぅ、あ、その、だから
遅くなってんじゃん!
う、・・・
あんなにお金かけて辛い思いして去年より遅くなってるってどういうことよ。
見てよ、私のスタッドレス!
毎週乾いた高速道路を何千キロも走らされて、もうツルンツルンじゃない。
あ、いや、ごめん・・・
この体たらくで400kmとか600kmとか、あたまおかしい!
・・・
何よ、何か言いなさいよ
・・・
ばか、泣いてるの?
ひっ・・・
泣いてる暇あるんなら、トレーニングメニューでも作りなさいっ!
今回も色々あったようですね・・・。
でも、グロスアベレージで16.2km/hあれば、問題ない数字だと思いますよ。
400は少しキツそうですが、それでも25時間程度でゴール出来るペースですから、2時間、仮眠などに充てる余裕がありますよ。
(寝過ごしが怖いですが・・・)
こちらの今年のブルベ初走行は、BRM420宮城200kmになります。
経験値稼ぎを何とかしないと・・・。