いやあ、優子。

富士大回り400km、完走しちゃったよ。


うん、私もびっくりした。


やっぱり人生諦めないと、良い事あるもんだな~。


あのさ、たかが遊びなんだから、なんでも人生訓にしない方がいいよ。

ジジ臭い。


ジジイ言うな!


ということで、遅くなりましたがBRM622富士大廻りを振り返ります。


台風が心配されたが、田村編集長(社長?)はじめ何人かの強力晴れ男のお陰で快晴となった。

P1000448














暑かったね~。


うん、東北人には辛い。

だからセーブしながら道志みちを登って50km地点の通過チェックには10時に到着。

平均17km/hだからここまではまったく予定どうり。
P1000453














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どこから狂ったの?


それがわからないんだ。

道志みちは斜度はたいしたことないのだが、とにかく長い。

こんなに60kmも登り続けたことはないので、水分補給・カロリー補給をしながら充分気をつけて来たはずだったのに。


また脚が攣ったの?


そうなんだよ、突然。

山伏トンネルを抜けて、山中湖へ爽快なダウンヒルだったはずなのに右脚が攣って、左もすぐに。

湖畔の使われてないバス停で芍薬甘草湯を飲んで、アミノ酸と炭水化物粉末を摂取して10分ほどストレッチをしたが、完全にはよくなるわけもなく、しかたなくよたよたと走りだす。


富士山は?


本来はここで、ど~んと富士さんがどや顔して現れるのだが、世界遺産なんて怪しげなものに登録されてご機嫌斜めだったのか、お隠れになったままだった。
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とにかくこのままじゃあと340km以上も走れるわけもないので、休養とガツンと補給ということで、富士吉田のすき家に飛び込む。


ところがこれが大失敗。

混んでいるからか、注文にもきてくれない。注文しても持ってこない。やっと持ってきたら間違えている。謝りもしない。時間は無駄に過ぎていく。

やっと注文の品を持ってきたと思ったら異様に肉が少ない。


てめーこの富士吉田のすき家!
 

肉の量、山形の3分の1だったぞ!

ブルベの命を削るような貴重な時間を無駄にされて神経も逆なでされて、何か全てが疲れ果ててまたはるか遠くのゴール目指して漕ぎだしたのだが。


だー、駄目だ。
 

富士吉田から本栖湖までの登りをよたよた走りだしたのだが、たかが4kmほどのところでまたダウン。セブンイレブンで緊急休憩を余儀なくされた。

なんとも全身に力が入らない。

もちろん貯金は0どころか刻一刻とマイナスとなっている。


自分を呪ったね。一応冬から準備して努力もそれなりにしてきたつもりなのに。

優子の言うとおり、今回は何があってもタイムアウトまで頑張るつもりだったのに、頑張ることもできずに力なくタイムアウトを迎えるという最悪の展開。


コンビニの路上に横たわったまま、陽炎がたつ道を見るも、もう反射ベスト種族は誰も通らない。

また最後尾なんだろう。

何を飲んでも、何を食べても回復する兆しはない。


これは、もう・・・だめかもしれない・・・優子ごめん。

何も出来ずに終わってしまったよ。

諦めのため息が大きく吐き出された、その時


ん!?


気持ち良い?


そう、ため息がやけに気持ちよかった。


もしかして?


おもむろに起き上がって深呼吸を繰り返す。

吐くときに口をすぼめ、肺の中の二酸化炭素を全て出すつもりで吐く。

異様に大きな音がし、小さな女の子が恐怖に立ちすくんでこちらを凝視しているが、かまうこっちゃない。こっちは必死なんだ。


効く、効いてきた。

驚いたことに、身体中に力がみなぎると同時に脚の攣りも緩和されてきた。


これかあ!!

酸素不足だったのか?


長くゆるやかな道志みちの登りで、あまりハアハアしないできたせいで酸素不足に陥っていたのかもしれない。


いや理由なんてなんでも良い。結果論として呼吸を早めることでまた走れるようになるのなら、それで充分すぎる。


この坂さえ登っちゃえば、後はPC1まで標高差700mのダウンヒル。

見違えるような足取りであっという間に本栖湖到着。


本当に今までの半病人状態は何だったんだろう?


そして念願のダウンヒル。最後にまたちょっと登り返しがあったが、こんなのは勢い良くダンシングでねじ伏せてPC1に14:32に滑り込んだ。

なんとDNFどころか50分の貯金も出来た。


地獄からの生還ということね。


本当に、そう。

また走れることが、嬉しくて嬉しくて。


ここからは、富士川沿いの登りと下り、そして海沿いを平坦基調のまま中伊豆のPC4まで計算できる道のり。

この虎の子の貯金50分を減らすことなく走れれば勝機も見えてくるはず。


そしてその通りの展開となった。

南アルプス市までの道のりは蒸し暑くダラダラとした登りが続き苦しめられたが、呼吸に気をつけながら乗り切り、中伊豆PC4に23:37に到着。なんとか貯金を2時間に増やすことが出来た。

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ここからは約130km。

眠気に注意しながら、伊豆の山を超え、伊東~熱海~小田原の海沿いアップダウンを超えれば後は平坦。

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だあれ?前方のお二人は?


これは、え~と田村社長とN女史さん。

速いのなんのって、とてもじゃないけどついて行けなかったよ。


眠気覚ましと集中力維持のため、予定どうり熱海と小田原でコンビニ自主休憩。


小田原へのダウンヒルの最後に朝焼けに染まる海を見ることが出来た。
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興津400DNFで見られなかった努力のあとの神様からのご褒美ね。


うん、ブルベやっててよかったと本当に思った。

茅ヶ崎の最終PC5には5:57分着。残り38kmで1時間半の貯金だから、完走が現実のものとなってきた。

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   P1000488














そして暑さと信号峠に苦しめられながらも8:41分にゴール。

25時間41分の旅が終わった。
 写真














お疲れさま。

今回は、諦めないで頑張ったの、偉かったね。

やれば出来るんじゃん。


そうか?

そうだよな?やれば出来るんだよ僕は。


あれっ?骨折してた左手首は大丈夫だったの?


骨折?

ああ、そうだったかな?


まあ、あんがい図太いのね。


気合だよ、気合。わっはっは。


最終PCからゴールまで、何かムニュムニュつぶやいてたの、あれ何?


ああ、400kmでこんなに疲れるなら600kmなんて絶対「無理無理」って言っていたんだ。


そうね、北海道600は諦めて、今年これから練習してもう少し速くなってから来年挑戦した方がいいかもね。


あっ?ああ、うん・・・・。


ねぇ、今なんか巨大なダンボールが宅配されてきたよ。これ、なあに?

写真-1














あ、う、いや、何かな?


カンガルー便の自転車専用箱って書いてある!

まさか、北海道用?


いや、まあ、一応、なんていうか・・・


ああっ!北斗星も申し込んでるし、帰りの飛行機のチケットもとってるし、えべおつ温泉もちゃっかり予約してるじゃん。

何が無理無理よ。


だって、北海道完走すればSRなんだぜ?


呆れた。死にそうな顔で無理無理言ってたのもう忘れたの?


いやあ、だって400km走っても脚まだ残ってたし、月曜日からちゃんと仕事出来たし、これなら600kmも走れるかなっていう気がしてきたんだ。


信じられない・・・・


なんで?

僕はやれば出来るんだよ!

もう今回で呼吸法がわかったから鬼に金棒さ。


そう、これからAJ神奈川さんの714会津ブルベトライアルで暑さに慣れて、そうして北海道で完走すれば・・・。


完走すれば、僕も晴れて念願のSR様さ。

シューペル・ランドヌール・・ああ、なんという甘美な響き。

口をすぼめてもう一度言ってみよう。


シューペル・ランドヌール ♪


いやあ、今から楽しみだな~。

早く8月がこないかなぁ。わっはっは。


・・・。


調子こいてるこの大馬鹿もんの代わりにAJ西東京のスタッフの皆様にお礼を申し上げます。

温かいもてなしと後方に並走スタッフがいらっしゃることで安心して走れたそうです。

本当にありがとうございました。


AJ北海道のスタッフの皆様、そんなこんなでどうも8月3日にはお世話になるそうです。

今調子に乗って舞い上がってますが、当日までにはきっちり絞めておきますので、どうかよろしくお願いします。


あれ、優子なに?

こら、乱暴はやめなさい!

あっ!

ごめんなさい。

たすけてくれ~!!!