メイン集団から逃げて必死で白樺峠を目指すが、ついに然別湖の自販機休憩で追いつかれ吸収されてしまった。


それにこの集団が最後尾であるらしい。

ということはこの集団からちぎれたら未来はないということが明らかになった。


しかし、逃げで脚を使ってしまいもう力をかけれない状態になっている。

然別湖の湖畔はほぼ平坦なのでまだ良かったが、幌鹿峠への登りにかかるとついに集団から遅れるようになってしまった。


考えてみたら、いや今さら考えなくても同じなのだが最後尾軍団とはいえ、そのメンバーの凄いこと。

殆どの人がPBP完走者でありHさんもこの後宮城1000に出走、そして次のPBPに挑戦するとのこと。

なんでこんな絢爛豪華なメンバーが最後尾なんだ?


恐ろしすぎるぞ大雪600!


わざとゆっくり走ってる?

さて、そろそろ本気だすかとか言ってバビューーーンて行ってしまうんじゃないだろうな。


ちきしょー、花ちゃんは涼しい顔をして皆と一緒に登っている。

考えてみたら、花ちゃん、花ちゃんと朝から上から目線で心配したり可哀想がったりしてるが、ここまで1mたりとも一緒に走ってるわけではないんだよなぁ。


花ちゃんは自分一人でここまで来て、今は暗くなったので安全のために皆と一緒に走っているにすぎない。


危ないのは自分だ!

遅れていることを心配してくれて誰かが自分が見える曲がり角までゆっくり待っていてくれているみたいだ。


しかしそのことが焦りを呼んで余計苦しくなっていく。

どんなにあがいても脚はまわらない。時速6kmを切っている。

しかも完全な最後尾、びりっけつ。


もう集団の最後尾のテールランプが見えなくなった。

待つのも諦めてくれたのだろう。

少し重荷から開放された気分になった。



そしてついに力尽き止まってしまった。

真っ暗闇の峠道。

ヤケクソでライトを全部消して道に寝っ転がり星空を観る。

↓イメージ画像

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星は密集していて、美しいを越えて気味が悪いくらいだ。

地球も宇宙の一部だというのが知覚でき、また信仰の根源はここにあるのではないかと思ったりもした。


気味が悪いといえば先程から右の茂みからごそごそ音がしている。

宇宙もいいが、こんなとこに寝ていてヒグマさんにお会いするのだけは勘弁なのでしかたなしに起き上がり、また走りだす。


そこの角を曲がると頂上ですよとガーミンさんが教えてくれる。

そして嫌な予感がしてきた。

カーブの先、茂みの奥から明かりが漏れてくるのだ。

頂上といっても何もない深い闇があるだけのところから、複数の光が・・・。


もう間違いない。

皆、自分を待っててくれている。

ただでさえ先のPC3のクローズ時間に追われているのに、総勢6名の人達を待たせてしまった。

しかもずっと走っていたのならともかく3回も休み、そのうちの1回などは道の真中に寝っ転がって哲学に耽っていたというのに。


自分がつくと皆一斉に小さくため息をついたような気がした。

待たせて申し訳ありませんと謝ったが、Y田さんが下りは寒いから皆着替えていたので待ってませんよとおっしゃってくれる。

chikaさんも花ちゃんも、待ってないから大丈夫ですよと気を使ってくれる。


みんな優しいね。

でも分かっているよ。自分が待たせた時間は着替えに使う時間よりずっと長かったはずだ。


絶対待っていないと勝手に思った自分の致命的な判断ミスのせいだ。

そして最後尾の暗闇の峠で離れた男を待つ判断をしてくれたのが、おそらくY田さん。


Y田さんは皆を先に行かせ、僕に着替えるように言うと自分もまだ着替えるからと言う。

しかし何だかごそごそやっているがもうすでに雨具をつけて完全防寒体制になっていたから、もしかして僕に余計な気を使わせないためにわざとごそごそやってくれていたのかもしれない。


Y田さん、本当に申し訳ありませんでした。

それに花ちゃん、何もしてあげれないくせに、上から目線で心配したり逃げたりしてた自分に対して、優しくしてくれてありがとう。

この先何か自分にできることがあれば、必ずお役にたてるよう頑張るからね。


Y田さんの皆に対する気遣いはこの後環境が厳しくなるにつけ凄みを増してくる。

ゆっくり気をつけて降りるように言ってY田さんがしんがりを努めてくれた。


208km地点、PC3糠平温泉の有人チェックポイントに到着。

20:52着。

良かった、なんとか1時間近くの貯金でこれた。
↓イメージ画像(AJ北海道様からお借りしました)

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事前情報ではスタッフの方が美味しいラーメンをご馳走してくれるという。

意地汚くそれを期待して頭のなかはラーメン一色になっていたのだが、残念ながらないらしい。


花ちゃんに、ごめん僕が遅いから売り切れちゃったのかなと言うと、どうもそうではなくて火を炊いたら温泉の係の人から止められたそうだ。


ここではトイレ休憩のみで次の士幌PC4に急ぐ。

238km地点のPC4までは下り基調で問題なく22:26着。

1時間半程の貯金。

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この調子でいけば309km地点の仮眠場所陸別には2時間半ほどの貯金でいけそう。

ということは1時間半は休める。


Y田軍団と花ちゃん、そして僕と最終組7人が70km先の陸別道の駅に向けて出発した。


トレインのラス前を花ちゃん、最後尾を自分が務めるが花ちゃんが徐々に遅れる。

Y田さんが速いわけではなく、花ちゃんの調子が悪そうだ。


結局集団からちぎれてしまい、僕と花ちゃんの二人行となった。

登りは花ちゃんを先に行かせて、平坦は僕が前を引く。


たぶんY田さんも自分が花ちゃんと一緒に走ることになったと理解したのだろう、待つこともなくどんどん先に行ってしまった。


しかしこれもY田さんのやり方なのだが、距離をおいて観察しててくれる。余計な手助けはしない。しかし決して見放してるわけではなく、必要とあれば助けてくれる。


現にとっくに先に行ってると思っていたが途中の足寄のセーコーマートでちゃんと待っててくれた。


誰もが一刻も速く陸別に着いて寝たかったろうに。


花ちゃんはどうもお尻が痛くなってきたようで、chikaさんが親切に色々と世話を焼いてくれている。


我々もここで明日の朝の食事の調達も含めて休憩したかったので、Y田さんに言って先に行ってもらった。

なんとなくだが、Y田さんから目で「花ちゃん頼んだぞ」と言われたような気がした。


頼まれたのは良いのだが、ロードバイクを買ってからこのかた、単独行しか知らない自分が他人を引く難しさを痛感してしまった。


しかもおそらく花ちゃんは疲れからかお尻の痛みか、本調子ではない。

そういう状態の人の体調を考えてスピードを調整したいのだがうまく行かない。


あるときは離れてしまい、あるときは遅すぎて詰まらせてしまう。

もうどうしていいか分からず、ゆっくり自分のペースで走って、あとは大きく離れないようにだけ注意するしか出来なかった。


花ちゃん、肝心な時不甲斐ないオッサンで申し訳ない。


2時40分頃309km陸別道の駅に到着。

ここまで思っても見なかったアップダウンが延々と続き結構時間がかかってしまった。

ここを貯金1時間を見て3時半に出発の予定だ。


Y田さん達は基本的に脚があるので4時まで休むつもりだと聞いていた。


ここで花ちゃんに提案をする。

自分は遅いので3時半には出る。

Y田さん達は4時まで休むようだが、先ほどのように花ちゃんがついていけないようだと迷惑がかかるので、よかったら自分と一緒に3時半に出ないか?

すっかり明るくなれば、また一人で走ってもいいしY田さん達と一緒に走ってもいいし。


花ちゃんは理解してくれて一緒に3時半に出ることになった。


実はこの時、今回のブルベは花ちゃんと一蓮托生の覚悟を決めていた。

たぶん花ちゃんはこのペースだと良くて遠軽、悪ければ次の留辺蘂でタイムアウトになる可能性が高い。

しかし、これも縁だしこの苦行から開放されて花ちゃんと列車輪行も乙じゃないか、などと勝手に考えていたのだが。


そしてこの後驚くべき出来事が起き、今回の一蓮托生の決断が、恥ずべき一人よがりだったことが判明する。