陸別の道の駅で仮眠をとることになったのだが、もうランドネ達で満員御礼。

スタッフがこっそり用意してくれた段ボールも、もう残っていない。

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するともう出発するからと一人の方が段ボールを譲ってくれた。

さて二人で段ボール一つ。

どうするか?


この状況では段ボールは花ちゃん、自分は地面コンクリートじかに寝るしかないか。


やれやれ、地面直寝はいつ以来だ?

ネパールでヒマラヤ・トレッキングの途中で行き倒れて地面に寝て以来か。


と、ここで花ちゃんが助け舟を出してくれた。

花ちゃん寝袋を持ってきているので、段ボールは僕が使ってくれと言うのだ。


またここで花ちゃんに対する認識を改めた。
 

仮眠場所を想定して寝袋を持ってくるなんて中々出きることではない。

考えてみれば、寒暖差の激しいこのブルベ、そして深夜ライドのためのライトなどしっかり考えられて装備してきてるし、自分の力でここまで来てそして僕に段ボールを譲り自分は持参した寝袋で寝ている。


立派なもんである。


それにしてもいくら寝袋といってもコンクリ地面に直じゃ、痛いし寝れないだろうなと思っていたら、次に出発する人から花ちゃんが段ボールを貰っている声を聞いた。


夢か真かどっちかなと思っているうちに非情にもスマホから出発時刻になったことを告げられた。


休憩実質30分?

こりゃあ、お互い悩むこともなく仲良くDNFかなあと覚悟した。


一足先に起きていたbongoさんに二人は遅いので先に出ることを告げ、3時40分頃陸別を出発。


外の気温は10度。体感は5度。霧が充満してて視界10m。

レインジャケットとレインパンツ、それに長指グローブで走りだした。

パールイズミの長袖防風インナーは使わずじまいだったが、これを持っている安心感には変えられない。

冬の関東のブルベで何回これに助けられたことか。


あまりに時間がなかったので二人とも朝食を食べてない。

しかたないので走りながら食べようと足寄で買ったおにぎりやらパンをモグモグ食べる。

花ちゃんも器用に走りながらもぐもぐ食べている。


立派なランドネですよ、花ちゃん君は!


ところがここでついに眠気の魔女が僕に君臨してきた。

深い霧の中、単調な景色と道路をゆっくり進む二人。

眠くならないほうがおかしい。


そこで今回初めてといっていいのだが花ちゃんと色々話をすることにした。


去年からブルベを初めて先月やっと富士大廻りで400を完走したこと。

今回のブルベが初600で、一応SRがかかっていること等。


このSRの一言を聞いて花ちゃんの声が一変した。


SRがかかっている大事なブルベでこんなところで私にかまってないで先にいけというのだ。


そう言われても行きたくても行けないほど眠かったし、とにかく一緒に留辺蘂まで行くことにした。僕の方が一緒にいて欲しかったのだ。


留辺蘂までの道のりは、アップダウンがきつくまた小峠みたいのもあって眠い自分はスピードが上がらない。

花ちゃんに何回か休憩をお願いする始末。

むしろ花ちゃんに迷惑をかけている状態だったと思う。

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355km留辺蘂PC5には7時頃到着。クローズドは7:40。

ここでまたY田メイン集団に吸収される。


Y田さんは、ここまできたら次の遠軽まではたいしたことないからクローズド近くまで休むということである。


花ちゃんは寝袋等いらなくなった荷物をコンビニから自宅へ送って身軽になる準備をしていた。

ふむふむ、これも大したものだ。

少しでも軽くして巡航速度を上げるのは賢い選択だ。


自分も防寒雨具等を収納して灼熱ライドに備える準備をしている時に気づいた。


輪行袋がない!


確か陸別に着いた時はあったので、たぶんそこで落としたらしい。

これは神様が、なんとしても完走しろと言っているのか。

もう退路は絶たれた。後は前に進むのみ。


花ちゃんの準備が終わるのを待って先に二人で出発する。 

僕には怖くてクローズぎりぎりまで休むことは出来ないからだ。

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ただ出発してからも、花ちゃんは先に行けとうるさい。

私のせいでSRを駄目にしたくないから、お願いだから先に行けと繰り返す。


その言葉に甘えたわけじゃないが、金華峠を越えてからは長い下りがある。

ここで少し飛ばして、アドバンテージを作ってから少し仮眠したかった。


そこで言われるがまま先を急ぎ途中のホテルバス停で10分間の仮眠をとった。


さわやかな風が頬を撫でる。

ラベンダーの香りが鼻をくすぐる。

子どもたちの笑声が近くなったり遠くなったり・・・。


今僕はどこにいるのだろう?

この優しい満ち足りた気持ちはどうしたんだろう?

その時・・・


ジリリリリリリリーーーーー!!!!!!! 



過酷な現実に戻される非常なスマホの黒電話サウンドが耳元で鳴り響く。


寝たぁ!
 

恐ろしく深い眠りを経験した。

陸別から頭にしつこくかかっていた霧が嘘のように晴れた。


残りの下りをまた飛ばして392.7km地点、遠軽PC6には9:18分着

クローズドは10:12。

花ちゃんはしっかりすでに着いていた。


先に行ったはずなのにいないから心配してたと少し恐い目で睨まれた。

ふ~ん、花ちゃん結構良い奥さんになるかも。


ここからは最後のラスボス北見峠、標高857m。

次の上川PCまで78km。

これをクリアすれば完走の文字がちらついてくるであろう。


しかしY田軍団はここでもたっぷり休憩をとるという。

おそらくメンバーの体調を考慮して決めているにちがいない。

こちらも花ちゃんの顔色を眺めると決して良好とは言いがたい。

花ちゃんにとっても同性のchikaさんが一緒だと心強いに違いない。

そこでY田軍団と一緒に行動させて貰うことにした。


9:50分頃出発。


もうアドバンテージはないも同然。

この北見峠の長い道のりは、パンクや仮眠も許されない、本当にギリギリの勝負所になるはすだ。

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なるはずなのだが、峠への緩いアプローチをきわめてゆ
っくり進む軍団。

え~~!こんなにゆっくり進んで間に合うの?

と思ったが、ブルベの神様Y田さんが判断を間違うはずがない。

信じよう!


もう完全に任せた。

ブルベをやってから初めて他に全てを委ねた。

いやあ、委ねてみるとこれが楽。

いままで肩肘張って計算して考えて気を配って・・・色々やっていたのが、ただ何も考えず付いて行けばいいのだから、こんな楽でいいのかと思うくらい。


ただ日が昇るにつれ暑さが酷くなってきた。昨日より暑いのは間違いない。

Sさんが消耗した顔つきで停まり、先に行ってくれと合図する。


えっ!?

百戦錬磨のSさんが?

PBP完走者がここでDNF?


そしてあろうことかY田さんまでが停まり先に行け合図を!


ちょっと待ってくれ!

僕はY田さんに全てを預けたのに、Y田さんいなくなっちゃたらどうするの?


これにはビビった。

あわててQシートを引っ張りだしてスマホ電卓で残り距離と時間の計算をする。
それも走りながら。


そのうちにSさん、すごい勢いで集団に戻ってきた。

いやあ、眠くて暑くてぼーっとしてねとのこと。


自分だったらあんなに差がついてしまったら戻れないな、この登りじゃ。


花ちゃんでも無理じゃないかな?


あれ?
 

花ちゃん?


いない花ちゃん!!!


いつのまにかいなくなってる!!!!


その時Y田さんが集団に戻ってきた。


聞くと花ちゃん調子悪そうで無理かもしれないとのこと。

ずいぶんと距離が離れたらしい。
 


えええええ!!!???