ねえ、どうするの?

どうするのって、ブルベ?

そう、今度のBRM412熊本600、行かないの?

う〜ん、迷ってるんだ。
なにしろずっと原因不明の胃腸炎で寝込んでたし、相変わらず鼻血は止まらないし、九州は土日とも雨予報だし。
わざわざ行っても体調不良と40時間雨じゃ、辛いだけだし止めようかなぁ。

あのね・・・

なに?

いったい、今度の熊本行きに、既にいくら注ぎ込んだと思ってるの?

え?いや、そりゃ、うん・・・

もう飛行機も宿もキャンセル出来ないんだから、死に物狂いで頑張ってきなさいよ。

えー?でも健康あっての人生だし、辛いだけの趣味なんてそもそも・・

バカモーーーーン!

ひぇっ!

今年に入ってから、寒い中静岡だ、東京だ、埼玉だと引っ張り回され、おまけに自分は暖かい沖縄に行くからいいけど、こっちは吹雪のなか仙台空港に置き去りにされたり、今年だけでブルベ関連で何キロ走ったと思ってるのよ?

わかんない。

6,000kmよ、6,000km!
こんなに大変な思いをして、あんたのろくでも無い趣味に付き合ってあげてるんだから、多少の体調不良とか雨ごときで行かないだのなんだの、抜かすなっつうのっ!

ほんとだ、車だけで6000km、ブルベでも2000km走っちゃたんだね。
そうか、仕方ない、ダメ元で行ってくるか。

行く前にBRM322埼玉300とBRM329群馬400のレポートあげてってね。

あぅぅ、はい。

ということでBRM322埼玉300日光東照宮。

3月22日(土)川口運動公園。
晴天なれど、風強し。
入間発の那珂川300に多くの人が行ったのか、人数は少なめのような気がする。

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PIPIさんとご挨拶するも、PIPIさんは8時発。
どこで抜かれるかの話になるが、このコースはあまりグルメポイントがないそうで、そうなるとグルメをしないPIPIさんは無敵状態になるはず。

きっと4号線を渡るまでに抜かされるだろうと話す。

スタートして越谷くらいまでは、追い風基調。
みなさん、速い速い。
あっというまに最後尾一人旅。

この追い風も野田の醤油工場くらいまで。
利根川の土手ぐらいから冷たい北風が向い風となって襲いかかる。
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向い風は本当に辛い。
しかも寒いから体温が上がらない。 
 
PC1は100km先。
しかし向い風に負けるわけにはいかない。
なにしろ日光へは、激坂滝ヶ原峠を登らされる。
PC1からPC2の日光までの50kmは4時間かかると見なければならない。

ということは、どんなに辛くてもPC1で最低1時間の貯金を作らなければ、PC2でタイムオーバーしてしまうのだ。

信号とか考えると、巡航速度を20km以下に落とすわけには行かない。

木々が踊るように揺れている。
地鳴りのような轟音をたてて北風が向かってくる。
ずっと風に向かってよろよろとふらつく一人旅。
たった5〜60kmほどで脚が売り切れ体力と気力も無くなってしまった。

唯一の望みは、予報では栃木県内は西風から時には南西の風になるらしい。
そうなれば、なんとかなるかもしれない。

とにかく栃木まで頑張ろう。
そう、思川の道の駅までくれば、おそらく南西の風になるはず・・・・・

残念!予報は外れ、栃木県も立派な北西風がびゅんびゅん吹いていた。
ついに、気持ちがプッツンと切れ、ふらふらと道の駅思川に入りランドヌールに見つからないよう、キョドキョドしながら小山に向かって走りだした。
完全にブルベから逃げ出した。
暖かいところで美味しいものを食べてお風呂に入って、ゆっくり眠ろう。
小山から輪行しちゃえば、もうこの苦行から開放される!

ところが、バチがあたったのか、小山に向かったとたん、恐ろしいほどの東風が吹き付けてきた。
信じられない。あれほど北西風に苦しめられてきたのに、この道は東風?
今度は小山まで行く気持ちが折れた。
何をやっているかよく自分でも分からないまま、仕方なくまた北へ向かって、地獄の滝ヶ原に向かってまたよろよとと走りだした。


結局PC1には13:05着。クローズが14:08だから本当にぎりぎりだ。
休む暇もない。
昼食のおにぎりとシュークリームはポケットに入れて、また走りだす。
日光までの川沿いの緩やかな登りを行く。
さすがの向い風も威力を失い、登りとはいえ20kmほどで走ることが出来た。

もしかしたら、PC2に間に合うかもしれない。

しかし、6時間も向い風と戦い力を失った脚には、滝ヶ原峠は凄すぎた。
最後の1kmで200m標高をあげる所では、まったく漕げなくなってしまった。

漕げなくなった情けないランドヌールはどうするのか?

そう、俯いて悲しそうに自転車を押して歩くのみ。

ふと前を見ると、お仲間が!

悲しいランドヌールが一人、また一人、また一人、延々と押す人々が続いている。
はっと後ろを見ると、おお、後ろにも悲しい押す者達が・・・

こんなに長く押し歩きしたのは、初めての経験だが背に腹は代えられない。
屈辱感が体を震わせる。


日光の秘境滝ヶ原を、地獄へ向かう罪人達のごとく延々と続く自転車苦行の人々。
この先に待つ閻魔様は果たしてこの罪深き者たちをお許しになるだろうか?

なんとかぎりぎりで許していただけた。
PC2日光東照宮には16:56着。なんとクローズまで16分を残すのみ。

タイムアウトしなかったからといって、体力も気力も意地もすべて使い果たして抜け殻のような今の自分にはのこり150km暗闇の苦行に向かう気は更々なかった。

ここから輪行で帰ろう。
もう今日は充分頑張ったし、良い練習になった。
スタッフの方にDNFの連絡を入れようとした時、近くの方のジャージを見ると亀太郎。

ああ、この人には滝ヶ原でびゅんと抜かれたなぁ、恐ろしく速いオッサンだった。
8時発みたいで余裕たっぷりだな。
でもこの髪型は覚えがあるぞ、そうだ山の子さんだ。亀太郎ジャージの件ではお世話になったしな。
一応挨拶しておくか。

ということで気力を絞って笑顔を作り、ご挨拶をする。
なんと近くにいたご夫妻も亀太郎でミクロンご夫妻とおっしゃるとのこと。

亀太郎同志ということで記念写真までとっていただいた。

記念写真?
ということはこの自分のヤラレ顔がきっと山の子さんのブログに載るに違いない。
そしてその自分が特別な理由もなしに、疲れたからといってブルベをDNFしたと全世界にバレてしまうに違いない。

それはマズイ!
自分は良くとも亀太郎の名声を汚すわけにはいかない。

しかたなく、すでにマイナス貯金となってしまっているが、とにかく見栄で再び自転車に跨がり川口へと復路を走りだした。

もう昼間のような強風はなかったが、往路で向い風だったのだから追い風を期待したのだが、なぜか終始微風向い風だった。
そのうえ、脚も完全に終わっており、モチベーションもなし。
ただ最終クローズの3時に間に合わせるようにふらふらと動いているに過ぎない。
ほぼ無風平坦なのに20km/hが精一杯。

いつものことだが、今回のブルベは終始一人旅。
辛さだけが唯一のお友達。

それでも漕いでいればいつかは終わる。
ゴールは02:24。19h24m。
クローズまで30分を残すのみのギリギリ隊。

いやあ、今回は本当に疲れました。
体調もあまり良くなかったが、とにかく冷たい向い風というのは恐ろしいということが分かった。
が、対策はない。
自分の脚力体力を上げる以外ない。

ちなみにいつの間にか抜かされていたPIPIさんは16h30mだったそうで、さすがです。
ただのグルメ王子ではないな。

結局このブルベでは33名のDNS、15名のDNFだったそうで、厳しいブルベだったのは間違いない。

ねえ、写真たったこれだけ?

写真なんてあるわけないだろ!

死ぬほど辛かったんだぞ!